2025 年 122 巻 7 号 p. 458-468
潰瘍性大腸炎には特異的な所見は存在せず,病歴,臨床経過,検体検査,内視鏡所見,組織学的所見など複数の所見をもとに総合的に診断する必要がある.本邦における潰瘍性大腸炎の診断基準は厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班にて毎年改訂されており,臨床症状,内視鏡検査もしくは注腸X線検査,病理所見をもとに診断する.近年,抗インテグリンαvβ6抗体など潰瘍性大腸炎患者で特異的に陽性となるバイオマーカーが報告されている.これらのバイオマーカーに対する知見が深まることで,将来,潰瘍性大腸炎の診断体系が大きく変化する可能性がある.