抄録
症例は80歳男性. パーキンソン病, 慢性気管支炎, 便秘症にて投薬を受けていたが腹痛, 便秘を主訴に来院, 著明なS状結腸の拡張と39度の発熱を認めたため麻痺性イレウスと診断, 入院となった. イレウス管を挿入し抗生物質投与を行ったところ第6病日偽膜性腸炎が判明した. バンコマイシンの経口投与を開始したが, 臨床症状の改善乏しく中毒性巨大結腸, DICを併発, 種々の内科的治療に抵抗性で多臓器不全を合併し第34病日死亡した. 中毒性巨大結腸合併症例においては早期に外科的治療を視野に入れた治療法の選択も必要と考えられた.