1971 年 68 巻 8 号 p. 817-828
手術的に blind loop をシロネズミおよび犬に設置して主としてB12吸収態度を調べ, 次の結論を得た. Filling loop 設置後漸次B12吸収障害が進行したが, それは腸内容の停滞および細菌の増殖に関係すると思われる. 犬では腸内細菌によるB12吸着は胃液により抑制された. 57C-B12を経口投与すると, その後1~3時間の吸収相において blind loop 設置犬では腸内容の沈渣に取り込まれるB12は対照犬よりも多かつたが, 投与のB12量からみるときわめてわずかな量であつた. 回腸粘膜に検出されるB12は対照犬にくらべ loop 犬は少なかつた. Blind loop 設置犬におけるB12吸収障害は単に増殖した腸内細菌によるB12の先取りのみでは説明できず, その他の未知の機構の関与が考えられる.