1973 年 70 巻 8 号 p. 792-811
pancreozymin-secretin 試験と膵臓の病理組織検査を指標にして胆石症に随伴する慢性膵障害を検索した. 胆石症の55.5%に膵外分泌機能障害が随伴し, 胆石症術後3年経過しても膵障害の18.6%は遺残するが, 術後12年までは治癒の可能性がある. 胆石症の8.55%には慢性膵炎が合併し, 胆道手術が的確に行われてもその55.6%は遠隔成績不良である. 胆石症に随伴する慢性膵障害は, 術後愁訴を招来して胆石症術後遠隔成績不良の一因たり得るが, その推定頻度は胆石症の1.71~4.52%で, いわゆる胆嚢摘除後症候群の原因の10~26%をしめる.