日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
70 巻, 8 号
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  • 下鳥 隆生
    1973 年 70 巻 8 号 p. 783-791
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    食道アカラシアは下部食道噴門部の弛緩不全による食物通過障害と食道の異常拡張がみられる機能的な疾患である. 本症については種々の報告がなされているが, その病変の進行状態を特に臨床上具体的に明示した研究は殆んどない. そこで経過を厳重に観察した本症の非手術例30例について, 病変の進行状態をX線型•食道最大横径•食道軸•食道壁緊張度•食道運動•食道炎等の変化についてX線学的に詳細に追求した結果, 病変の進行せる症例では, X線型はI型→II型, II型→III型, 又はI型→II型→III型となり, 食道最大横径は増大し, 食道軸の迂曲現象が認められ, 食道壁緊張度は正常→亢進又は亢進→弛緩となり, 食道異常運動が出現し, 食道炎は増強することが認められた. 又, 全検索症例30例中15例50%の高率に病変の進行症例を認め, 更に病悩期間が長くなるほど病変の進行する症例が多くなる事実が判明した. 検索症例の50%が進行性病変を呈する関係上, 本症に対しては, X線学的に厳重な経過観察が絶対に必要で, しかも観察期間中に進行性所見が認められた場合は, 適切な治療を施す必要性が生じてくる.
  • 鶴 敬雄
    1973 年 70 巻 8 号 p. 792-811
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    pancreozymin-secretin 試験と膵臓の病理組織検査を指標にして胆石症に随伴する慢性膵障害を検索した. 胆石症の55.5%に膵外分泌機能障害が随伴し, 胆石症術後3年経過しても膵障害の18.6%は遺残するが, 術後12年までは治癒の可能性がある. 胆石症の8.55%には慢性膵炎が合併し, 胆道手術が的確に行われてもその55.6%は遠隔成績不良である. 胆石症に随伴する慢性膵障害は, 術後愁訴を招来して胆石症術後遠隔成績不良の一因たり得るが, その推定頻度は胆石症の1.71~4.52%で, いわゆる胆嚢摘除後症候群の原因の10~26%をしめる.
  • 第三報 消化管粘膜表面の立体観察
    勝 健一
    1973 年 70 巻 8 号 p. 812-819
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    物体表面の微細形態を観察しうる走査電顕によつて, 消化管粘膜表面と病理組織学的特徴を同時に観察することは不可能であつたが, 今回, 消化管粘膜表面の観察時に組織の断面側からの組織像を同時に写真撮影しうることに成功したので, その方法と症例の一部を供覧する. ヒトの切除胃, ウサギ, アカゲザルを用い, 試料は従来の方法と同様に処理するが, 脱水直後に鋭利な刃物で組織を裁断し観察部位の断面を作つた後に蒸着を行なう点が異なつている. 観察の結果, 胃, 十二指腸, 小腸及びウサギの虫垂において断面像は光学顕微鏡で得られる像と同様であり, これを観察しつつ粘膜表面の形態観察を行ないうることが明らかとなつた. 特に高倍率で胃粘膜被覆上皮細胞の一個の表面と断面を同時に観察することに成功した.
  • 芳賀 紀夫
    1973 年 70 巻 8 号 p. 820-834
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    昭和45年2月から昭和47年9月まで, 東北大学第1外科において胆石症の診断のもとに開腹術の行われた151例に対して膵生検を行い, そのうち119例に対してセクレチン試験 (S試験) を行つた. また, 同一方向に切面を有する56例について胃疾患例31例を対照として組織計測を行い, 胆石症における膵障害の実態を検索し, 次の結果を得た. すなわち 1) S試験を行つた119例中膵外分泌機能障害例は軽度障害25例, 中等度障害4例, 高度障害1例計30例 (25.2%) であつた. 2) 障害因子別では, 軽度障害例では液量低下例8例, 最高重炭酸塩濃度低下例12例, 総アミラーゼ量低下例5例であり, 全障害例30例中では液量低下例10例, 最高重炭酸塩濃度低下例17例, 総アミラーゼ量低下例9例であつた. 3) 結石の所在部位, 種類とS試験成績との間には有意の相関はなかつた. 4) S試験中等度以上障害例は胆管拡張例, 胆汁内細菌培養陽性例, 血清総コレステロール高値例に多くみられた. 5) 膵実質占拠率はS試験中等度以上障害例, ビ系石例, 胆管結石例で低かつた. 6) 膵実質占拠率は対照群では加令と共に減少したが, 胆石群では一定の傾向を示さなかつた. 7) 組織学的病変の頻度および程度とS試験成績中等度以上障害例との間には相関がみられた. 8) 胆石群と対照群における膵組織像に差はみられず, 胆石症151例中慢性膵炎と診断し得た例は5例(3.3%)のみであつた.
  • Bilirubin の組織染着性より見た黄疸の発生機序
    柴田 久雄, 伊藤 綏, 加島 弘
    1973 年 70 巻 8 号 p. 835-840
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    高 Bilirubin 血症の成因については多くの研究があるが黄疸すなわち Bilirubin による組織の染着の機序は明らかでない.
    この報告では Collagen 及び Elastin を用い試験管内で Bilirubin その他の色素を混合し, 染着の状態を観察し, 上清の濃度を測定して染着の量を想定した. その結果高抱合 Bilirubin 血清は, Collagen, Elastin を染着し, その染着の主たる部分は非蛋白結合 Bilirubin であつた.
    一方高非抱合 Bilirubin 血清はそれのみでは Collagen Elastin を染着せず, 染着のためには界面活性剤を必要とした. 又この場合その黄染の色調は高抱合 Bilirubin 血清の場合と異つていた.
  • 御園生 正紀, 大藤 正雄, 土屋 幸浩, 税所 宏光, 百瀬 昌人, 熊谷 哲夫, 河村 浩一, 田辺 俊之, 木村 邦夫, 朝比奈 信武 ...
    1973 年 70 巻 8 号 p. 841-848
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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