日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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胆道と膵の関連を含む良性乳頭部病変について剖検症例による検討
田辺 俊之
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1974 年 71 巻 10 号 p. 973-988

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抄録

PTCをはじめとする近年の胆, 膵, 十二指腸領域に於ける診断技術の進歩により, 乳頭部の重要性が指摘されつつある. 著者は, 良性乳頭部病変の基礎的検討を行い, 同時に, 乳頭部と膵との病態的関連性を追求する目的で, 胆石症及び非消化器疾患についての剖検例により, 組織学的検討を加えた.
乳頭部の組織所見では, 胆石例で, 乳頭部粘膜上皮下結合織増生, 細胞浸潤, 腺増生が多く認められる. 乳頭部病変では, 炎症型, 線維・腺増生型・腺症型 (腺筋症型) の3型が認められ, 胆石例では炎症型が高率にみられる. 乳頭部は加令による組織変化を認める. 胆石例に於ける膵組織変化は, 膵頭部で強くみられる. 乳頭部病変と膵管を主体とした膵病変との関連は, 炎症が介在する場合に認められる.

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