PTCをはじめとする近年の胆, 膵, 十二指腸領域に於ける診断技術の進歩により, 乳頭部の重要性が指摘されつつある. 著者は, 良性乳頭部病変の基礎的検討を行い, 同時に, 乳頭部と膵との病態的関連性を追求する目的で, 胆石症及び非消化器疾患についての剖検例により, 組織学的検討を加えた.
乳頭部の組織所見では, 胆石例で, 乳頭部粘膜上皮下結合織増生, 細胞浸潤, 腺増生が多く認められる. 乳頭部病変では, 炎症型, 線維・腺増生型・腺症型 (腺筋症型) の3型が認められ, 胆石例では炎症型が高率にみられる. 乳頭部は加令による組織変化を認める. 胆石例に於ける膵組織変化は, 膵頭部で強くみられる. 乳頭部病変と膵管を主体とした膵病変との関連は, 炎症が介在する場合に認められる.
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