1974 年 71 巻 4 号 p. 328-345
胃分泌細胞の形態と機能との関連性を識る自的で, 内視鏡的正常胃5例, 高度萎縮性胃炎4例を対象とし, Histalog刺激前・後の胃体中部大弯局所の腺体部壁細胞の微細構造変化について比較検討した.形態変化は主として基底面・接触面・糸粒体・GOlgi装置・核・小胞様構造・細胞内分泌細管・Microvilli等にみられ, 正常胃例では刺激10分後に, 高度萎縮性胃炎例ではとくにLysosome.Vacuole Containing Bodyの動きが注目され20分後に顕著であつた.しかもこれらの各種形態変化は高度萎縮性胃炎例でより広範であり, かつ, 両例の間の機能的な差とよく相関していた.壁細胞のHCl分泌は主としてEccrine分泌により, 一部はMicro-apocrine分泌形式によるものと考えられた.