1974 年 71 巻 8 号 p. 764-776
食道癌および噴門癌術後の症例を主な対象として, 消化吸収試験ならびに消化液分泌機能 (再建胃管および膵) 等を観察し, 術後消化吸収障害を起こす諸因子について検討した. また, 犬に手術を施行し, 14Clabeled fatを使用して中鎖脂肪と長鎖脂肪の吸収状態, 投与食物の通過コースの相違あるいはTruncal vagotomy等により脂肪の消化吸収にどの程度影響を与えるかについて観察した. 術後の糖質の消化吸収は余り障害されないが, 蛋白および脂肪の消化吸収は障害される. 特に脂肪の消化吸収は悪い. この点中鎖脂肪の投与は術後早期のカロリー源として有効である. Truncal vagotomyは脂肪の消化吸収に影響を与える.嚥下食物と消化液とのAsynchronyは術後のMalabsorptionの決定的な要因と考える.