日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
薬物性肝障害の臨床統計
日本における過去30年間の薬物性肝障害症例
鮫島 美子塩崎 安子水野 孝子笹川 美年子鈴木 惇龍見 幸二
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1974 年 71 巻 8 号 p. 799-807

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抄録

我が国における薬物性肝障害の実態を知るため, 昭和19年1月より48年末にいたる30年間に国内の医学雑誌はこ掲載された薬物性肝障害の報告例を集計した. この期間に総数2, 862例報告されており, 中枢神経作用薬, 化学療法薬, 抗生物質, 循環器作用薬, 診断用薬, ホルモン・ホルモン作用物質などによる肝障害例の報告が多かつた.全期間の30年間を10年毎に3分して各年代毎の報告数をみると, 昭和39年から48年までの10年間に症例が集中し, 2, 543例 (88.86%) が報告されている. 報告数の多い個々の薬物について主要臨床症状, 起因薬物の投与日数, 診断方法, 成因, 治癒日数, 予後につき集計した. 本調査によつてわが国における薬物性肝障害の一面を知ることができると思われる.

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