日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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早期類似進行胃癌症例の検討
吉田 弘一池内 広重押部 光正町田 哲太星 昿夫高橋 通宏
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1975 年 72 巻 6 号 p. 725-733

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抄録

切除胃癌437例のうち, 肉眼上早期類似進行胃癌は52例, 53病巣で, IIc様21例, IIc+III様6例, III様5例, IIc+IIa様18例, IIaないしI様3例である. 深達度をみるとpm 31例58.5%と最も多く, ss 12例, s1 4例, s2 6例であつた.
長径4cm以下で癌深達が s1, s2 におよんでいた深達傾向の旺盛な4例があつた. リンパ節転移頻度は52例中17例32.7%で, 早期胃癌5.8%と進行癌全体71.5%の中間を示した. 術後5年以内死亡例9例の中には, 長径4cm以下で癌浸潤が山型 (未広) の形式を示したものが3例あつた. 胃癌深達度の肉眼的判別は陥凹型では粘膜ひだの隆起融合の程度, 陥凹部の凹凸不平, 硬化像の程度がある程度深達度および癌巣の進展パターンを反映する. 隆起型では腫瘤の大きさ, びらんおよび決潰の程度が癌の進展度を反映する. III類似症例では深達度の判別が困難であつた.

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