日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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72 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 特に組織計測的検索による機能と形態との関連について
    佐藤 秀樹
    1975 年 72 巻 6 号 p. 651-663
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    18例の膵ラ島腫瘍について機能と形態との関連について組織計測等を用い検討を加えた. その結果インスリノーマでは全て一様の分泌様式を示めさず各インスリン誘発試験においても血中インスリン反応と血糖値の変動が必ずしも平行関連になく正常ラ島のインスリン分泌と異なることが示唆され叉腫瘍外ラ島を対照群と対比してみるとインスリノーマでは小型のラ島の増加が認められラ島腫瘍の腫瘍外膵組織への影響を示唆した.
  • 小林 絢三, 三谷 栄時, 山田 英明
    1975 年 72 巻 6 号 p. 664-672
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    乳頭部機能異常については, 右季助部痛, 黄疸などの臨床症状, AIK-P, LAP値の上昇, 乳頭部の腫脹, X線的な胆管未端部像, ならびに運動の観察に加えて, 教室で開発した半導体を応用した感圧素子による胆道未端部運動の分析により, その診断は可能である. 胆道系結石症, 特に胆管結石症において, 感圧素子検査により, 不規則波が得られた. また, 慢性膵炎, 一部の肝炎に同様の不規則波がみられたが, 興味あることは十二指腸潰瘍の約半数に不規則波が認められた. この事実は, 従来胆道系結石症においてのみ注目されていた乳頭部機能異常は肝, 膵ならびに十二指腸粘膜面の病態とも密接な関連性をもつことを示唆していると考えられる.
  • その消化性潰瘍の成因における意義について
    長町 幸雄, 谷口 章
    1975 年 72 巻 6 号 p. 673-683
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    emotional stress が胃液分泌に如何に影響するかを手術症例で調べた. stress としては手術直前の情動不穏状態に着目し, これを emotional stress とみなし, 手術侵襲をphysical stress とみなし胃液ペプシンと酸分泌を調べた. 対照には安静時の結果を当てて比較した. emotional stress では血漿 11-OHCS 値の軽度増加が, 潰瘍, 非潰瘍の如何に拘らず認められた. この僅かな副腎皮質ホルモン増加に反応して, 十二指腸潰瘍および胃•十二指腸合併潰瘍例で著明な塩酸とペプシン分泌の亢進が認められた. これら疾患では胃底腺が副腎皮質ホルモモン変化に敏感である証拠である. emotional stress による胃液分泌はアトロピンで抑制されるが, 安静時の抑制に比べると軽度である. 潰瘍の成因に占める emotional stress の意義を検討した.
  • その相互関係についての考察
    松本 博之, 和田 武雄
    1975 年 72 巻 6 号 p. 684-689
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 牧野 勲, 篠崎 堅次郎, 芳野 宏一, 中川 昌一
    1975 年 72 巻 6 号 p. 690-702
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Cholesterol 胆石症11名にUDCA1日450mgから2gを4カ月から1年半長期投与し, 臨床症状, 胆嚢造影, 肝機能検査の経過を観察した. その結果, 患者11名中胆石の完全消失1名, 胆石個数の減少又は胆石陰影の縮少3例, 判定保留1例, 残り6例は不変であつて有効率約37%であつた. 一方, 今回の比較的大量のUDCA投与によつてほとんど全例にそれ迄高頻度に持続した右季肋部痛, 右背部痛の消失が認められ, 自覚症状の改善を認めた. この間肝機能検査に異常なく血中 Cholestreol も正常値を保持した.
    患者11名中3例についてUDCA投与前後の胆汁中脂質が分析されUDCA投与前 Cholesterol 過飽和の胆汁はUDCA投与後, そのLithogenicity が改善された. 一方, 胆汁中胆汁酸分析ではUDCA投与後総胆汁酸の40%以上がUDCAで占められCDCAと合計すると Dihydroxy 胆汁酸は, 約80%に達したがLCAも軽度増加するのを認めた.
  • Adipiodone 製剤との比較対照試験による検討
    大藤 正雄, 土屋 幸浩, 宮崎 逸夫, 小西 孝司, 山崎 岐男, 黒川 茂樹, 松田 一, 三好 勝彦, 松代 隆, 鈴木 範美, 佐久 ...
    1975 年 72 巻 6 号 p. 703-724
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    経静脈胆道造影剤として新しく開発された Iodoxamic acid (IA) と現在わが国において臨床に使用されている Adipiodone (AP) との造影効果ならびに副作用について比較検討を行つた. なお比較方法は群別比較により二重盲検法に準じて多数施設試験法にて実施された. IA (ヨード含量3.67g) はAP (ヨード含量5.0g)と造影効果を比較して, 胆管造影にて最高造影度造影度の持続性にまさり, 胆のう造影では最高造影度にてまさる傾向であるが, 造影度の持続性はおとる結果であつた.
    副作用についてはIAはAPよりも発現率が低く, かつ重篤な随伴症状が少ない傾向を示した.
  • 吉田 弘一, 池内 広重, 押部 光正, 町田 哲太, 星 昿夫, 高橋 通宏
    1975 年 72 巻 6 号 p. 725-733
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    切除胃癌437例のうち, 肉眼上早期類似進行胃癌は52例, 53病巣で, IIc様21例, IIc+III様6例, III様5例, IIc+IIa様18例, IIaないしI様3例である. 深達度をみるとpm 31例58.5%と最も多く, ss 12例, s1 4例, s2 6例であつた.
    長径4cm以下で癌深達が s1, s2 におよんでいた深達傾向の旺盛な4例があつた. リンパ節転移頻度は52例中17例32.7%で, 早期胃癌5.8%と進行癌全体71.5%の中間を示した. 術後5年以内死亡例9例の中には, 長径4cm以下で癌浸潤が山型 (未広) の形式を示したものが3例あつた. 胃癌深達度の肉眼的判別は陥凹型では粘膜ひだの隆起融合の程度, 陥凹部の凹凸不平, 硬化像の程度がある程度深達度および癌巣の進展パターンを反映する. 隆起型では腫瘤の大きさ, びらんおよび決潰の程度が癌の進展度を反映する. III類似症例では深達度の判別が困難であつた.
  • 木本 邦彦, 宮岡 孝幸, 中島 正継, 三崎 文夫, 佐々木 善二, 村上 健二, 川井 啓市, 橋本 睦弘, 郡 大裕
    1975 年 72 巻 6 号 p. 734-742
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    CIS-gastrin-radioimmunoassay kit を用いて上部消化管疾患の血清ガストリンを測定した. 対象症例は各種検査にて糖尿病, 腎臓病, 肝硬変を除外し, 且つ胃腸透視および胃十二指腸内視鏡検査で診断した162例である.
    1) 空腹時血清ガストリン値は内視鏡的正常27±15, 高度萎縮性胃炎 296±221, 単発胃潰瘍57±41, 十二指腸潰瘍71±44, 早期胃癌81±76, 進行胃癌125±95pg/ml であつた. 2) 空腹時血清ガストリンは内視鏡的胃腺境界の位置ががO1 に進むにつれて上昇し, さらにO2~3 に進むと逆に低下する傾向がああつた. また60歳以上の高齢になると低下する傾向がみられた. 3) 重曹と propantheline bromide 併用後の血清ガストリンの上昇率は十二指腸潰瘍では60分後に peak があり, 健常者や胃潰瘍より遅れていた. 4) セクレチン投与後の血清ガストリンの低下率は十二指腸潰瘍では120分後に最底となり, 胃潰瘍や健常者より遅れていた.
  • 須田 雍夫, 鎌田 常明, 太田 潤, 姉歯 安正, 菊地 金男
    1975 年 72 巻 6 号 p. 743-750
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除5例の膵管ドレナジーより採取した膵液を用い, Glucagon の膵外分泌に対する影響を検討した. Secretin 注入下で Glucagon 2及び3mgの単回投与は膵の水, 電解質分泌には影響せず, 膵酵素の分泌を抑制した. 酵素量の最高抑制値は2mg投与では前値の70~80%, 3mg投与では15~45%であつた. 抑制効果は Glucagon 投与後, 直ちに発現し, 約60分間持続した. 血糖値の上昇は200mg/dl以下であつた. 比較のために高張糖液静注時の膵外分泌に対する抑制効果を検討した. これらの結果から Glucagon の膵外分泌抑制は膵に対する直接作用であるが, 酵素合成阻害ではなく, 排出阻害によるものと考えられた. これらをもとに Glucagon の急性膵炎治療に対する適用について討論した.
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