日本消化器病学会雑誌
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上部消化管疾患 (主として消化性潰瘍) における血清ガストリンの動態
木本 邦彦宮岡 孝幸中島 正継三崎 文夫佐々木 善二村上 健二川井 啓市橋本 睦弘郡 大裕
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1975 年 72 巻 6 号 p. 734-742

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抄録

CIS-gastrin-radioimmunoassay kit を用いて上部消化管疾患の血清ガストリンを測定した. 対象症例は各種検査にて糖尿病, 腎臓病, 肝硬変を除外し, 且つ胃腸透視および胃十二指腸内視鏡検査で診断した162例である.
1) 空腹時血清ガストリン値は内視鏡的正常27±15, 高度萎縮性胃炎 296±221, 単発胃潰瘍57±41, 十二指腸潰瘍71±44, 早期胃癌81±76, 進行胃癌125±95pg/ml であつた. 2) 空腹時血清ガストリンは内視鏡的胃腺境界の位置ががO1 に進むにつれて上昇し, さらにO2~3 に進むと逆に低下する傾向がああつた. また60歳以上の高齢になると低下する傾向がみられた. 3) 重曹と propantheline bromide 併用後の血清ガストリンの上昇率は十二指腸潰瘍では60分後に peak があり, 健常者や胃潰瘍より遅れていた. 4) セクレチン投与後の血清ガストリンの低下率は十二指腸潰瘍では120分後に最底となり, 胃潰瘍や健常者より遅れていた.

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