日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
特発性門脈圧亢進症 (いわゆるBanti症候群) の成因と発生病理について
島田 宜浩山本 和秀宗友 文男湯浅 志郎芳野 健伊藤 俊雄平川 弘泰浮田 実太田 亘糸島 達也窪田 政寛
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1977 年 74 巻 10 号 p. 1347-1354

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抄録

特発性門脈圧亢進症 (いわゆるBanti症候群) の病因および発生病理の追及を目的として, 30例の本症例を対象とし血清HBs抗原・抗体値, 腹腔鏡検査, 肝生検および血管再構築法などの臨床的観察を実施した. 本症における血清HBs抗原・抗体値の陽性率は慢性肝炎の成績に匹敵し, しかもHBs抗体陽性例が高率であつた. このことは本症とB型肝炎の病因的関係を示唆する一所見である. 腹腔鏡検査では肝表面に波うち状の陥凹と隆起があり, 血管再築標本からは肝内門脈枝末梢部の閉塞を高率に認めた. この肝内門脈末梢の病変は肝表面の陥凹の発生と関係するとともに, 本症の門脈圧亢進の重要な発生要因であることを示している.

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