1977 年 74 巻 3 号 p. 296-308
潰瘍性大腸炎切除材料19例を用いて病理組織学的に病変の部位別の差異を検索し, また内分泌細胞の消長を定量的に観察した. 広範な潰瘍は横行結腸部以下の大腸にみられた. 潰瘍瘢痕が病期にかかわらずみられたことは本症の寛解と再燃を裏付ける所見であることを示唆するものであつた. 陰窩膿瘍はどの部位にもみられたが, 同時にみられる杯細胞の減少は粘膜の抵抗性の減少を来す可能性があることを推論した. 炎症性ポリープは17例に出現した. 粘膜の著明な萎縮は病悩期間1年以上の症例に多かつた. バネート細胞は16例に出現し右側大腸に著明であつた. 内分泌細胞は活動性の病変部と病悩期間1年以内の群では有意の差をもつて減少していた.