日本消化器病学会雑誌
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胆道系疾患における胆汁細胞診の研究およびその細胞の形態学的検討
小林 茂樹
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1977 年 74 巻 3 号 p. 309-320

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抄録

胆道系疾患の確定診断法として経皮的胆道造影時の胆汁細胞診を57例に試み, 40例に正診を得た. これ等の症例中悪性疾患は37例中25例 (68%) に陽性が得られ, 良性疾患20例中15例 (75%) に正診を得た.特に総胆管癌は10例中9例に陽性で4例は手術可能な小さな腫瘍であつた.
さらに胆汁細胞診の正確度を増すために, 細胞の形態学的研究を行つた. 即ち胆嚢の良性異型細胞の特徴, および胆嚢癌との鑑別点を検討し, さらに胆汁中浮遊細胞の特徴を調べるべく, 良性または悪性疾患の同一症例の塗抹細胞と胆汁中浮遊細胞の比較を行つた. これ等諸結果は胆汁細胞診に於ける偽陽性, 偽陰性の判定上有意義であり, 診断成績の向上に役立つ.

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