日本消化器病学会雑誌
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74 巻, 3 号
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  • 第2編: 閉塞性黄疸時の血清間接型ビリルビン増加の成因について
    白地 孝
    1977 年 74 巻 3 号 p. 275-283
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸時の血清間接型ビリルビン増加の成因について, 特にβ-グルクロニダーゼを中心として, 臨床的, 実験的に検討し, つぎの様な結果を得た.
    1) 臨床例において, 血清直接型ビリルビン値と間接型ビリルビン値の割合は, 約7: 3であつた.2) 臨床例で, 血清β-グルクロニダーゼ活性は, 正常値より高値であり, 正常値の4.5倍以内にあつた.3) 閉塞性黄疸ラットで, 血清β-グルクロニダーゼ活性は, 正常値より高値であり, 正常値の3倍以内にあつた.4) 閉塞性黄疸ラットで, 肝組織中β-グルクロニダーゼ活性と血清β-グルクロニダーゼ活性との間には, 正の相関々係が認められた.5) 閉塞性黄疸ラットで, 胆管結紮早期には, ライソゾーム分画の, ついで肝組織中のβ-グルクロニダーゼ活性が上昇し, 肝組織中のβ-グルクロニダーゼ活性が上昇すると, 血清間接型ビリルビン値が上昇し, 同時にpeakに達した.6) 閉塞性黄疸ラットで, ライソゾーム膜の脆弱性は, 血清ビリルビン値のpeakに一致して, 胆管結紮後5日目でpeakに達した.
    以上のことより, 閉塞性黄疸時にみられる間接型ビリルビンの増加に, 肝内でのβ-グルクロニダーゼによる直接型ビリルビンの脱抱合が重要な役割をなしているものと考えられた.
  • 古川 裕夫, 作野 忠, 榊原 嘉彦, 高橋 隆幸, 堂前 尚親, 内野 治人
    1977 年 74 巻 3 号 p. 284-295
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ヒト胎児大腸工PSを抗原としてIBD (inflammatory bowel disease) に皮内反応を施行した場合に即時反応の型をとることが多いのは既に報告したが, 遅延反応についてはどうかを知る目的で.若干のIBDについて本反応を施行し, 遅延反応を示す場合が何例かにあることを知つた.同時にLMT (leukocyte migration inhibition test) を同一抗原で施行して, 皮内反応より陽性率は落ちるが.やはり何例かの陽性例を得た.このことから, ヒト胎児大腸工PSは流血免疫のみならず, 細胞免疫でも抗原性を有することを述べ.その構造を詳細に知る必要があることを報告した.
  • 町田 武久
    1977 年 74 巻 3 号 p. 296-308
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎切除材料19例を用いて病理組織学的に病変の部位別の差異を検索し, また内分泌細胞の消長を定量的に観察した. 広範な潰瘍は横行結腸部以下の大腸にみられた. 潰瘍瘢痕が病期にかかわらずみられたことは本症の寛解と再燃を裏付ける所見であることを示唆するものであつた. 陰窩膿瘍はどの部位にもみられたが, 同時にみられる杯細胞の減少は粘膜の抵抗性の減少を来す可能性があることを推論した. 炎症性ポリープは17例に出現した. 粘膜の著明な萎縮は病悩期間1年以上の症例に多かつた. バネート細胞は16例に出現し右側大腸に著明であつた. 内分泌細胞は活動性の病変部と病悩期間1年以内の群では有意の差をもつて減少していた.
  • 小林 茂樹
    1977 年 74 巻 3 号 p. 309-320
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胆道系疾患の確定診断法として経皮的胆道造影時の胆汁細胞診を57例に試み, 40例に正診を得た. これ等の症例中悪性疾患は37例中25例 (68%) に陽性が得られ, 良性疾患20例中15例 (75%) に正診を得た.特に総胆管癌は10例中9例に陽性で4例は手術可能な小さな腫瘍であつた.
    さらに胆汁細胞診の正確度を増すために, 細胞の形態学的研究を行つた. 即ち胆嚢の良性異型細胞の特徴, および胆嚢癌との鑑別点を検討し, さらに胆汁中浮遊細胞の特徴を調べるべく, 良性または悪性疾患の同一症例の塗抹細胞と胆汁中浮遊細胞の比較を行つた. これ等諸結果は胆汁細胞診に於ける偽陽性, 偽陰性の判定上有意義であり, 診断成績の向上に役立つ.
  • 1.胃粘膜エネルギー代謝の特異性
    鎌田 武信, 佐藤 信紘, 川野 淳, 益沢 学, 房本 英之, 平松 紘一, 野口 正彦, 萩原 文二
    1977 年 74 巻 3 号 p. 321-328
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    急性胃病変は胃体部に多発し幽門部には少ないことが知られているが, この差を粘膜エネルギー代謝の面より検討した. 家兎胃粘膜ではホモジネート, ミトコンドリア分画でも酸素消費量, チトクロームaa3量は共に胃体部が幽門部に比し2.5~3倍の高値を示した. ヒト胃粘膜でも全く同様であった.この差異は個々のミトコンドリア機能の差ではなく両部の単位重量あたりのミトコンドリアの量の差によるものと考えられた. この成績は胃体部粘膜の構造ど機能の維持は幽門部粘膜に比し好気性エネルギー代謝により強く依存していることを示すもので, 血流障害に伴なう酸素供給不全により鋭敏に反応すると考えられる.
  • 安藤 喬, 吉田 洋, 寺倉 俊勝, 深沢 俊男, 高橋 善弥太
    1977 年 74 巻 3 号 p. 329-339
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肝, 胆道疾患を対象として, Coil Planet Centrifuge systemによる最終溶血浸透圧を測定した. 肝. 胆道疾患の最終溶血浸透圧は正常に比し, 低張側へ偏位し, 特に悪性胆道閉塞, Chronic aggressivehepatitis IIB, 非代償性肝硬変症で著しく偏位した. 又最終溶血浸透圧は一般肝機能検査と相関がみられた. 更に赤血球膜コレステロール量と逆相関, 血漿LCAT活性, αリポ蛋白濃度と正相関した. 胆汁酸, 加熱非働化によりLCAT活性を阻害した血漿中に赤血球を艀置すると, 最終溶血浸透圧が低張側へ偏位し, 赤血球膜コレステロールが増加したことから. 工CAT反応の低下が赤血球膜コレステロールを増加させ, 浸透圧抵抗性を増加させると考えられた.
  • 赤松 興一, 田中 昭, 武田 和久
    1977 年 74 巻 3 号 p. 340-350
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    3α-hydroxysteroid dehydrogenaseを用いた蛍光法による胆汁酸測定法を検討し, 健常人と肝疾患例の血清胆汁酸を測定した. 酵素反応により生ずる蛍光は試料中の夾雑物により. 0~30%の消光を受けたので, 各検体毎に蛍光の回収率を測定し, 抽出率と蛍光の回収率で補正して血清胆汁酸濃度を求めた. 健常人の血清総胆汁酸は6±5μMで. 肝疾患例では, 原発性胆汁性肝硬変, 急性肝炎極期. 肝硬変, 薬物性肝障害, 急性肝炎回復期. 慢性肝炎活動型の順に高く, 急性肝炎3例の経過では, 必ずしも胆汁酸がビリルビンに先行して下降しなかつた. 血清胆汁酸値と各種肝機能検査値とのあいだには. 急性肝炎極期と回復期で病態の推移との関連性を示す成績が得られた. 健常人のantipyrine半減期と血清胆汁酸濃度とは, 弱い負の相関関係にあつた.
  • 小林 信之, 斉藤 達雄, 鈴木 範美, 松代 隆
    1977 年 74 巻 3 号 p. 351-361
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ラットおよび臨床例にヶノデオキシコール酸 (CDCA) を1週間連続経口投与し. 胆汁中コレステロール溶存能の変動, 肝におよほす影響について検索した. CDCAはラットでは4群にわけ, それぞれ1日量3mg/kg. 10mg/kg,, 50mg/kg, 100mg/kgを臨床例では3群にそれぞれ1日量250mg, 750mg, 1, 500mgを投与した. ラット, 臨床例ともに胆汁中コレステロール. 燐脂質には各投与量で有意の変動はみられなかつた. しかし, 総胆汁酸量はラットでは3mg/kgおよび10mg/kg投与群が有意の増加を示した. 一方, 臨床例では250mg投与群で総胆汁酸の増加率が最も高く. 750mg投与群がこれにつぎ, 1, 500mg投与群では逆に減少した. 従つて, コレステロール溶存能の上昇も250mg投与群が最も著るしかつた. コレステロール溶存能の変動を体重 (kg) 当りのCDCA投与量でみると. 6.3mg/kg投与例で最も上昇し, 12mg/kg投与例がこれについだ. 従つて, 胆汁中コレステロール溶存能を最も高めるCDCAの至適投与量は250mgと750mgの間にあるものと思われる. ラット肝は光顕レベルでは変化はみられなかつたが, 電顕レベルでは10mg/kg以上の投与群でミトコンドリアの膨化などがみられた. 臨床例では750mg投与群の1例にSGOT, SGPTの一過性の上昇をみたのみであつた.
  • 阿美古 秀美, 岩武 忠昭, 原田 善雄, 国重 一彦, 村上 浩昭, 有好 邦夫, 田辺 満彦, 久保 勝彦
    1977 年 74 巻 3 号 p. 362-368
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    A 77-years old man admitted to our hospital, complaining of abdominal distension and dull epigastric pain.
    Fluoloscopic and endoscopic examination of the stomach, he was diagnosed of cancer of the stomach.(Borrman III), Adenocarcinoma.
    He had been treated with only anticancer drugs, because of old age and his anxiety for the operation.
    However, he was getting worse gradually and suffered from a severe pain on the cervical region, a few days before his death.
    His post-mortem examination revealed gastric cancer metastase to the pancreas and parotitis.
    During his course, his serum amylase isozyme pattern changed to pancreatic dominant pattern from normal, then to carotic dominant pattern.
    This case suggests the possible organ relationship between the pancreas and the parotis from the view point of amylase isozyme.
  • 早川 幹夫, 西村 秀男, 竹本 忠良
    1977 年 74 巻 3 号 p. 369-374
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Isoenzymes of alkaline phosphatase (ALP) are usually normal in the serum of acute viral hepatitis. We discovered a case of acute hepatitis who had an abnormal ALP isoenzyme in blood. This isoenzyme migrated more toward cathode than intestinal ALP by electrophoretic separation of isoenzymes. Enzymologic natures of this isoenzyme were similar to those of normal hepatic isoenzyme on inhibition by L-phenylalanine, L-homoarginine and L-leucine. This isoenzyme was detected in the liver extract also. Decrease in electrophoretic mobilities ofisoenzymes was seen both in hepatic and abnormal ALP by neuraminidase digestion, but retardation rate was more scarce in abnormal ALP. These data indicate that this isoenzyme is made by the liver which exhibits abnormal metabolism.
  • 1977 年 74 巻 3 号 p. 375-388
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 3 号 p. 389-392
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 3 号 p. 393-402
    発行日: 1977/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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