1977 年 74 巻 6 号 p. 720-731
肝細胞の色素取り込み機構を解明するため, 肝臓のICG色素取り込み速さ, 類似色素が色素取り込み速さに及ぼす影響, 肝細胞と色素の結合, 肝臓或いは浮遊肝細胞を用いた同一或いは類似色素投与により, 肝臓に透過蓄積された色素の移動を検討した.その結果, 血中ICG色素は主にリポ蛋白と結合して存在する.肝臓のICG色素取り込み速さには最大値が存在し, ICG色素取り込み速さは類似色素により競合阻害をうける.肝細胞に透過蓄積された色素は, 新たに加えられた同一或いは類似色素によりexchange diffnsionが認められる.以上の結果から, 血中の色素は単純な拡散で肝細胞へ入るのではなく, 肝細胞膜を介して細胞内へ運搬輸送されると考えられる.