日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵外分泌機構に関する実験的研究
第2編犬膵潅流法によるセクレチン刺激時のNa+, K+, Cl-の動態について
寺西 伸介
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 74 巻 7 号 p. 863-873

詳細
抄録

膵外分泌機構を解明する目的で犬膵のin situ完全潅流法を用い, Na+, K+およびCl-の動態について潅流静脈液のイオン濃度変化に重点をおいて観察した.
潅流速度と潅流圧の測定より, secretin刺激により一過性の潅流圧の低下が観察された. この変化は血管拡張によるものと考えられた.
secretin刺激によるNa+, K+およびCrの動向について正常Ringer液および等張, 低NaCl液の潅流を行い, 潅流静脈液と膵液のイオン濃度を測定し, 比較検討を行つたところ, 一過性のK+の細胞内から潅流液へのefflux, またNa+, CI-の潅流液から細胞内へのinfluxの上昇を認めた. これらの変化は細胞膜のイオンの透過性の変化を示し, 分泌に先立つて起つていることから分泌のtriggerとなつていることが想定された. 低NaCl, 等張液潅流実験において膵液中Na+は潅流液中のNa+に比べ著明に高く, しかも等浸透圧であつた. このような事実から分泌過程にNa+の能動輸送が存在することが強く示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top