日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
74 巻, 7 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 第1編犬膵潅流法によるセクレチン刺激時のH+, HCO3-の動態について
    寺西 伸介
    1977 年 74 巻 7 号 p. 851-862
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    膵外分泌機構を解明する目的でin vivo犬膵潅流実験による外分泌, とくにsecretin刺激による膵液中のHCO3-および潅流静脈血中のH+の動向を定量的に検討した.
    膵潅流静脈血のpHは動脈血のpHに比べ約0.1低いことがわかつた. さらに, 潅流膵のsecretin刺激により静止時の潅流静脈血のpHに比べて, さらにピーク値で平均0.075±0.022 (S.D., n=14) の低下を呈した. また膵液中に分泌されるHCO3-および血液中に放出されるH+の定量的な検索の結果, 血液中に放出されたH+量が膵液中に分泌されたHCO3-量よりも高いことが証明された. このことは血液中のCO2および膵細胞で生じたCO2が炭酸脱水酵素により水解されH+とHCO3-に分解され, H+は血液側に放出され, HCO3-は膵液中に分泌されるものと示唆された.
  • 第2編犬膵潅流法によるセクレチン刺激時のNa+, K+, Cl-の動態について
    寺西 伸介
    1977 年 74 巻 7 号 p. 863-873
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    膵外分泌機構を解明する目的で犬膵のin situ完全潅流法を用い, Na+, K+およびCl-の動態について潅流静脈液のイオン濃度変化に重点をおいて観察した.
    潅流速度と潅流圧の測定より, secretin刺激により一過性の潅流圧の低下が観察された. この変化は血管拡張によるものと考えられた.
    secretin刺激によるNa+, K+およびCrの動向について正常Ringer液および等張, 低NaCl液の潅流を行い, 潅流静脈液と膵液のイオン濃度を測定し, 比較検討を行つたところ, 一過性のK+の細胞内から潅流液へのefflux, またNa+, CI-の潅流液から細胞内へのinfluxの上昇を認めた. これらの変化は細胞膜のイオンの透過性の変化を示し, 分泌に先立つて起つていることから分泌のtriggerとなつていることが想定された. 低NaCl, 等張液潅流実験において膵液中Na+は潅流液中のNa+に比べ著明に高く, しかも等浸透圧であつた. このような事実から分泌過程にNa+の能動輸送が存在することが強く示唆された.
  • 渡辺 一晶, 矢花 剛, 角本 芳隆, 関山 伸男, 三谷 深泰, 中川 亨, 高須 重家, 谷内 昭, 佐藤 勝巳
    1977 年 74 巻 7 号 p. 874-882
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    内因性G放出機序および胃・十二指腸疾患の病態生理学的特徴を明らかにする目的でbouillon (負荷による) gastrin testを考案して臨床応用を試みた. 正常対照群の空腹時血清G値は102±14.1pg/ml, B負荷後5分で178±60.0pg/mlと増加 (p<0.05) し, 良好なG放出が惹起された. 胃・十二指腸疾患例の16.7%, 20.0%および63.3%がそれぞれ高値, 正常値および低値・変動群に分類され, 正常対照と異つたG放出機序の存在が示唆された. 空腹時およびB負荷後peak G値幽門前庭部粘膜内gastrin-like immunoreactivities量との間にそれぞれr=0.65 (p<0.01) およびr=0.72 (p<0.001) と良好な正の相関々係が得られ, 本試験下の血中G動態はfunctional G cell massの大小を反映し臨床応用意義を有すると考え, 若干の考察を加えた.
  • II. 局所免疫グロブリン及び細胞性免疫からのアプローチ
    加藤 三郎, 沢井 公和, 須藤 洋昌, 郡 大裕, 山口 希, 多田 正大, 宮岡 孝幸, 田中 多恵子, 川井 啓市
    1977 年 74 巻 7 号 p. 883-891
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎 (Ulcerative colitis, 以下UCと略す) における免疫学的背景として, 局所免疫グロブリンおよび細胞性免疫の立場よりアプローチを試み, 次の結果を得た.
    (1) 直腸粘膜免疫グロブリン含有細胞数の分析ではUC患者群のIgA含有細胞数は, 健常対照群に比して有意に高値を示したが (P>0.025), IgGおよびIgM含有細胞数に関しては, 両者間に有意差は認められなかった.(2) 末梢血リンパ球のT-B SubpopulationにおけるTcellの比率は健常対照群に比してUC患者群に低かつた (P>0.025).(3) 末梢血リンパ球のPhytohemaglutinin (PHA) による幼若化率はUC, 健常対照群に有意の差は認められなかつた.(4) ツベルクリソ皮内反応 (以下ツ反応), PHA皮内反応は, いずれも健常対照群に比較して, UC群で低陽性率を認めた (ツ反応: P>0.05, PHA皮内反応: P>0.005).
    本症に認められたT cell populationの低下, ツ反応およびPHA皮反応の低陽性率は本症の発症または経過における細胞性免疫能の低下を示唆するものと思われる.
  • 山本 節
    1977 年 74 巻 7 号 p. 892-902
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍の治癒関連因子とその治癒期間への影響を知る為に, 臨床的に充分追跡しえた胃潰瘍患者253例の資料について, 林の数量化第II類. 主成分々析及び重回帰分析を用いた検討を行つた. 重要な治癒関連因子は, 治療環境, 年齢, 部位深さ, であり, 内視鏡所見では, 周堤隆起の程度, 周辺の出血, が比較的重要である. 入院治療の場合では, 年齢, 部位併存胃炎が, 外来治療の場合では, 部位, 深さ, 周辺の出血が重要であり, 治癒関連因子に差がみられる.
  • 塩野 潔, 加藤 弘一, 渡部 洋三, 安井 昭, 大沼 肇, 唐沢 洋一, 村上 忠重
    1977 年 74 巻 7 号 p. 903-909
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1973年11月から半年間の唐沢病院におけるH. E. 約80例について各種胃液検査を施行した. 胃内視鏡施行時の吸引胃液は正常が遊離塩酸分泌量0.35±0.321Eq, 遊離塩酸濃度14.7±10.9cl. u. であり, 発症第1日目では各々7.8±2.41Eq, 54.o±17.7cl. u. と非常に高いが経日的に減酸して1週間でほぼ正常に戻る. ヒスタローグ刺激法では発症第1日目でM. A. 0.201Eq/hr以上と著明に高く, 以後漸減して1週間でほぼ正常に復する. この時期に薬物迷切を施行すると平均75%と極めて高い減酸効果を得られるがこの減酸効果も経日的に漸減していく. H. E. の発症には薬物迷切の効果より考えて, 視床下部-迷走神経系のルートが大いに関与していることがわかつた.
  • 漆崎 一朗, 石谷 邦彦, 長井 忠則, 近藤 敦, 吉田 憲基, 赤沢 修吾, 前口 邦雄, 呉 禎吉, 新津 洋司郎
    1977 年 74 巻 7 号 p. 910-923
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    原発性肝癌患者のリンパ球のin vitroのPHA反応を検討し, その低下を認めるとともに肝癌血清は正常者リンパ球のin vitroのPHA反応を抑制する作用のあることを見い出した. そこで正常者および肝癌血清をmicrocrystalline DEAE cellulose column chromatographyにより分画しPHA反応の抑制作用を検討するに, 正常者血清ではalpha-globulinおよびbeta-globulin分画に抑制作用が認められ, 肝癌血清ではこれら両分画に加えてalbuminを主体とする分画にも特徴的抑制作用が認められた. 肝癌血清の抑制分画をSephadex G-200でgel filtrationを実施するにalpha-globulin分画にもつとも抑制作用が強く, この分画には癌胎児蛋白であるalpha-fetoproteinおよびferritinが認められ, 正常血清に存在するIRA proteinが含まれた. 次に肝癌血清に特徴的なalbumin分画の抑制作用の主体はalpha-2macroglobulin分画であり, 肝癌血清のalpha-2macroglobulinは正常者血清のそれに比し著明な酸性域の等電点を有していた.
    原発性肝癌患者はこれら多くの体液性の非特異的免疫抑制因子によつて細胞性免疫の調節をうけているものと推察される.
  • 石田 秀夫, 堀田 恭子, 為近 義夫, 岡部 治弥
    1977 年 74 巻 7 号 p. 924-930
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    本編では, (1) ヘモグロビンを基質に用い, 胃液ペプシンにより水解されたペプタイド中の芳香族アミノ酸を直接波長280nmの紫外部で測定しペプシン活性を求める紫外部測定法, (2)(1) にフェノール試薬を加え発色させ, 640nmの波長で測定するフェノール発色法, (3) カゼイン・アガロース・バリウムクロライド平板を用いるRadial diffusion法の3つのペプシン活性測定法についてその簡便性, 再現性等を比較したが, その結果紫外部測定法とフェノール発色法はほぼ同程度の高い再現性を示したが, 簡便性の面では紫外部測定法が優つていた. またRadial diffusion法は最も簡便な方法ではあるが, 正確さにやや難があつた.
  • 田畑 育男, 田島 強, 早川 和雄, 富田 志郎, 松川 昌勝
    1977 年 74 巻 7 号 p. 931-941
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胆石症484例に内視鏡的逆行性胆道造影法 (ERC) を施行し, 造影領域, 造影像の特徴および鑑別診断等の問題点に検討を加えた.
    胆石症におけるERC可能の頻度は85.3%であつた. 胆嚢摘出術の既往の無い414例の造影領域は, 全胆道系が鮮明に描出されるものが49.3%であり, 胆嚢管・胆嚢共陰性11.1%, 胆嚢管閉塞18.6%, 総胆管閉塞5.1%および造影不能が15.9%であつた. さらに, 胆嚢内結石症で胆嚢充盈像が得られる頻度は57.7%であつた.
    胆管閉塞像 (31例) や総肝管狭窄像 (11例) を示すものの中には, 悪性疾患と鑑別困難例が存在した.
    陽性誤診の22例は, 胆石の自然消失, 胆嚢炎, 粘液または血液凝固塊, 胆嚢無形成, 異物等であつた.
  • 木下 正博, 藤井 さちよ, 野本 拓
    1977 年 74 巻 7 号 p. 942-950
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Sephadex G-200を用いたカラムクロマトグラフィーにより各種肝疾患におけるICG・血清蛋白結合パターンについて検討を加えた. 分離用高速遠心機により得られた各リポ蛋白分画のカラムクロマトグラフィーによる成績を総合すると肝疾患においては7S蛋白に一致すべきICG第II峰 (HDL3) の相対的増加と, 19S蛋白側への移動がみられた. 8M尿素を用いた結合パターンには0.033M燐酸緩衝液を用いた場合と変化はなく, 分析用超遠心機によるリポ蛋白分析, およびagarose agar gel電気泳動にも変化はみられなかつた. HDL3の拡散係数の低下はHDL3の分子量の増加によるものと思われ, この拡散係数の低下はICG試験15分停滞率とよく相関した.
  • 新谷 寿久, 狩野 哲次, 太田 五六, 重田 浩一, 和田 美和子, 北川 鉄人
    1977 年 74 巻 7 号 p. 951-955
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 7 号 p. 956-963
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 7 号 p. 963-994
    発行日: 1977/07/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
feedback
Top