日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
カルシウムの胃液分泌作用に関する実験的研究
肥田野 等
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 75 巻 10 号 p. 1524-1533

詳細
抄録

胃液分泌におけるカルシウムの作用機序を解明するためにラットを用いCaCl2を尾静脈より持続的に投与した. カルシウム4mg/kg-hr負荷時に潅流法により得られた胃液の酸•ペプシン分泌量共に最高値を示した. 同じ負荷により血中カルシウム, 血中ガストリン活性は有意に上昇し, 粘膜内ガストリン活性も胃体部では変化がなかつたのに対し胃前庭部では有意な上昇を示した. テトラガストリンとカルシウムの混合負荷は酸•ペプシン分泌に相乗効果を示さず, antrectomized rat におけるカルシウム負荷も酸•ペプシン分泌に影響を与えなかつた. これらのことからカルシウムの胃液分泌作用においては, 胃前庭部ガストリンの役割が重要であると考えられた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top