日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝静脈カテーテル法を用いた肝診断とその診断限界
特に肝静脈造影所見による肝硬変症と他肝疾患との鑑別について
高安 賢一武者 広隆中嶋 征男高圓 博文大久保 秀樹河野 邦彦福山 悦男小藤田 和郎奥田 邦雄
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1978 年 75 巻 10 号 p. 1623-1633

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抄録

肝疾患70例に肝静脈カテーテル法を施行し, 造影所見から肝静脈枝の変化をI~IV群に, 類洞充えい像をa~c群に分けて疾患別に検討を加えた. その結果, 肝硬変症の73.2%はIII以上の変化の強い群に属し, 他肝疾患の79.3%はII以下の軽度変化群に属した. A群の86.4%は肝表面が平滑であるのに対し, C群では全例3mm以上の結節が認められた. 又本分類は食道静脈瘤の程度を良く反映した. 更に造影所見III-b以上, 補正閉塞肝静脈圧150mmH2O以上, ICG肝除去率45%以下の3つの異常変化項目中2項目以上を示せば, ほぼ肝硬変と診断できるのに対し, これらの変化を示さない場合は肝硬変と言い難い. 本方法は安全性も高く, 各種肝疾患の病態把握や鑑別に有用な手段である.

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