日本消化器病学会雑誌
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ursodeoxycholic acid によるコレステロール系胆石の溶解機序と血清胆汁酸の定量分析について
南部 勝司黒田 博之浪久 利彦大浜 宏文前田 稔
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キーワード: 胆石, 胆石溶解, 血清胆汁酸
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1978 年 75 巻 11 号 p. 1768-1780

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抄録

ursodeoxycholic acid (UDCA) を6カ月以上継続投与した radiolucent な胆石27例を対象とした. UDCA150mg/日投与群 (150mg 群) 4例, 300mg群10例, 600mg群13例で, 胆石溶解効果に対する有効率は44.4%であつた. 胆石消失群 (6例) では6カ月前後に縮小が認められ, 縮小•減少群 (6例) との間に, 効果発現までの期間 (縮小•減少群では9カ月前後) に有意差があつた. 1年を経過しても変化のないものは無効であつた. 大結石の溶解は, まず胆石表面が溶解し, それがある程度進むと胆石は崩壊して消失することが示唆された. 血清総胆汁酸値はUDCAの投与量に比例して増加し, 投与後に血清胆汁酸を分析しえた全例で, UDCAの服用と密接な関係にあると考えられる未知物質が検出された. 胆汁中胆汁酸組成比は, UDCAが投与量に伴つて増加し, それとともに lithogenic index は低下した. LCAの増加は有意ではなかつた. 血清脂質は投与前後で有意差がなかつた.

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