日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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N-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine による実験的胆管癌の研究
市川 正章
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1978 年 75 巻 11 号 p. 1781-1790

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抄録

雑種犬18頭に外胆嚢瘻を造設し, 外瘻より0.7~1.0mg/mlの濃度のN-ethyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(ENNG) 水溶液を毎日5~10ml, 180日間注入し実験的に胆管癌の作製を試みた. その結果, ENNG投与開始から345日以上生存した7頭全てに胆管癌の発生を認めた. 癌は部位的には総胆管に好発し, しかも多発する傾向を示した. 癌の組織型は乳頭腺癌ないし管状腺癌であり, 胆管壁内神経線維束への侵襲が高頻度に認められた. 癌はその発育態度から胆管内腔に隆起する隆起型と, 胆管壁内に浸潤増生する深部浸潤型の2型に分類された. さらに癌の組織発生については隆起型は腺腫を母地とし, 深部浸潤型は de novo として発生することが推察された.

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