日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
術後 amylase-creatinine clearance の変動
水本 龍二川原田 嘉文玉置 久雄岩崎 誠
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1978 年 75 巻 4 号 p. 538-544

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抄録

高アミラーゼ血症を有する患者で急性膵炎を診断する場合にはアミラーゼクレアチニンクリアランス (ACCR) は有力な手掛りとなる. われわれは上腹部手術々後並びに急性膵炎症例につきACCRの変動を検討したところ, 術後高アミラーゼ血症をきたした患者の32.3%にACCRの6%以上の上昇がみられ, これらの症例では膵又は十二指腸に影響が及んだものが多かつた. ACCRが6%以上のものは急性膵炎と考えられるが, 同時に血清並びに尿中アミラーゼ値を考慮する必要がある. ACCRの上昇は一般に腎尿細管におけるアミラーゼの再吸収能の低下によると考えられているが, 急性膵炎に腎障害を続発した場合にはクレアチニンクリアランスの低下にも影響を受けるものと考えられる.

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