明らかなる合併症のない胃癌患者110例につき, single radial immunodiffusion 法を用いて, その血清グロブリン亜分画, 特に血清糖蛋白, α
1AGP, α
1AT, HP, α
2M, α
2HSと免疫グロブリンIgG, IgA, IgMを測定し, これらの蛋白の変動と胃癌の病型, stage 等との関係につき比較検討を加えた.
早期胃癌では, IgGの増加とIgMの減少がみられ, 進行胃癌では, α
1AGP, α
1AT, HPの増加とα
2M, IgMの減少を認めた. さらに他臓器転移の有無よりみると, 転移(+)例で, α
1AGP, α
1AT, HPの著増とα
2M, α
2HSの減少傾向がみられた. 特に, 肝転移(+)例では, HPの減少とIgGの増加を認めた. 手術不能例では, α
1AGP, α
1AT, HPの増加とα
2HSの減少が著明であつた. 血清グロブリン亜分画を測定することは, 胃癌患者における病態生理の解明にとつて有意義であると考えられる.
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