日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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75 巻, 4 号
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  • 第1報: 民族差からみた食習慣との関連について
    赤坂 裕三, 林 恭平, 佐々木 善二, 木本 邦彦, 山口 希, 多田 正大, 宮岡 孝幸, 青池 晟, 中島 正継, 三崎 文夫, 川井 ...
    1978 年 75 巻 4 号 p. 429-436
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    日本人, 在日朝鮮人, 西独人の3 Group に内視鏡検査を行い, 消化性潰瘍の局在ならびに疾患の背景にある胃粘膜の慢性変化, すなわち萎縮性胃炎の拡がりに各民族間で差があることを, 色素内視鏡 Congo Red法による機能的腺境界の位置から確認した. さらに各民族における慢性萎縮性胃炎の発現及び進展には年齢による差があり, 対象例の50%以上に慢性萎縮性胃炎をみる年齢は日本人で30歳台, 在日朝鮮人で40歳台, 西独人で60歳台であつた. この慢性萎縮性胃炎の発現と進展に関与する疫学的諸因子のうち, 特に食品や嗜好について疫学的検討を行い, 日本人と在日朝鮮人では高濃度塩分含有食品にのみ有意の差を認め, 在日朝鮮人では高濃度塩分摂取量が多かつた.
  • 杉山 宗平
    1978 年 75 巻 4 号 p. 437-449
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    明らかなる合併症のない胃癌患者110例につき, single radial immunodiffusion 法を用いて, その血清グロブリン亜分画, 特に血清糖蛋白, α1AGP, α1AT, HP, α2M, α2HSと免疫グロブリンIgG, IgA, IgMを測定し, これらの蛋白の変動と胃癌の病型, stage 等との関係につき比較検討を加えた.
    早期胃癌では, IgGの増加とIgMの減少がみられ, 進行胃癌では, α1AGP, α1AT, HPの増加とα2M, IgMの減少を認めた. さらに他臓器転移の有無よりみると, 転移(+)例で, α1AGP, α1AT, HPの著増とα2M, α2HSの減少傾向がみられた. 特に, 肝転移(+)例では, HPの減少とIgGの増加を認めた. 手術不能例では, α1AGP, α1AT, HPの増加とα2HSの減少が著明であつた. 血清グロブリン亜分画を測定することは, 胃癌患者における病態生理の解明にとつて有意義であると考えられる.
  • 第1報 アルカリフォスファターゼアイソエンザイムについて
    小田原 満, 西村 秀男, 中村 克衛, 河村 奨, 早川 幹夫, 浜田 義之, 渡辺 正俊, 野田 健一, 福本 陽平, 河原 清博, 竹 ...
    1978 年 75 巻 4 号 p. 450-456
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃癌の発生機構の研究や臨床応用を目的として, 胃癌, 腺腫性ポリープ, 異型上皮, 腸上皮化生, 正常粘膜の各組織および胃癌患者血清をもちい, アルカリフォスファターゼ(ALP)アイソエンザイムについて検討した. 組織は生検および手術材料をもちい, Morton の方法によりALPを抽出し, 5%ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法および65°Cの耐熱性でアイソエンザイムをしらべた. その結果, 胃癌組織20例中6例(30%), 胃癌血清63例中3例(4.7%), 腸上皮化生28中1例(3.5%)に耐熱性ALPがみられた. 腸上皮化生の1例に耐熱性ALPをみとめたことは, 発癌との関連を考えるうえで重要な症例と考えられた. なお, 今回の検討では, 腺腫性ポリープ, 異型上皮, 正常粘膜には耐熱性ALPはみられなかつた.
  • 福島 恒男, 石黒 直樹, 堀 嘉一郎, 諏訪 寛, 松田 好雄, 竹村 浩, 土屋 周二
    1978 年 75 巻 4 号 p. 457-465
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    最近経験した回腸, 結腸に病変のあるクローン病4症例の胆汁酸および蓚酸代謝障害について検討した. 症例は全例男性で2例は保存的に, 2例は手術的に治療した. 十二指腸液中の腸内細菌は4例中3例に陽性で, その3例に遊離型胆汁酸を検出した.
    抱合型胆汁酸の G/T比は, 回盲弁迄病変がおよび, 腸狭窄を伴なつた1例で上昇し, 他の3例ではほぼ正常範囲にあつた. しかしT/D比は全例で低下した. 胆汁酸分画では chenodeoxycholic acid の増加と deoxy cholic acid の減少が認められた. 尿中蓚酸排泄量は4例中2例で平均200mg/日以上に亢進した. 他の2例は正常ないし軽度亢進であつたが, 手術後, 排泄量は亢進した. 脂肪吸収障害は全例において軽度であつた.
  • 分枝鎖アミノ酸輸液の栄養代謝的意義
    渡辺 明治, 東 俊宏, 武居 篤史, 長島 秀夫
    1978 年 75 巻 4 号 p. 466-480
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝硬変, 劇症肝炎および亜急性肝炎など重症肝疾患例では, 血清アミノ酸パターンの著るしい異常と蛋白栄養障害を伴うことが多い. 現在市販されている総合L-アミノ酸製剤を肝硬変例にブドウ糖と共に輸液すると, 血清アミノグラムの不均衡を一層助長し, 肝性脳症を誘発する可能性がある. 分枝鎖アミノ酸を中心とした特異なアミノ酸輸液製剤 (Hep-OU) を試作し, 肝疾患例に輸液し, 血清アミノグラムの変化を解析し, Fischer らの肝不全用アミノ酸製剤 (Fischer 液) との比較をおこなつた. 肝硬変や亜急性肝炎など重症肝疾患例へのHep-OUの輸液は, 血清 Methionine, Phenylalanine および Tyrosine 濃度の著るしい減少と (Valine+Leucine+Isoleucine)/(Phenylalanine+Tyrosine) のモル濃度比率の増加を生じ, 肝性昏睡の覚醒や Fischer 液と同様脳波所見の改善をもたらした.
  • 小林 絢三, 三谷 栄時, 山田 英明
    1978 年 75 巻 4 号 p. 481-491
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    感圧素子装置を用い, 家兎の乳頭部運動を測定した. CCK-PZの大量静注により, 直ちに同部の運動は亢進した. しかし, 少量持続静注では運動は抑制された. 一方, caerulein の大量静注ではCCK-PZと同様に, 投与後直ちに運動亢進が認められたが, 少量持続静注では運動は徐徐に亢進した. 乳頭部運動に対するCCK-PZの作用は secretin により抑制されたが, atropin ならびに迷走神経切断によつて, その作用は影響を受けなかつた. 犬において, アミノ酸, オリーブ油十二指腸注入により乳頭部運動の亢進を認めた. 内視鏡下でヒト乳頭部運動を感圧素子装置で測定したが, CCK-PZにより初期には運動抑制が, 後期には亢進と胆汁排出が認められた.
  • とくに投与量との相関性について
    菅田 文夫, 山中 正己, 松本 泰二, 勝田 紀男
    1978 年 75 巻 4 号 p. 492-499
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    15人の胆のうがX線上造影可能な胆石症患者において, Ursodeoxycholic Acid (UDCA) の投与量の段階的増加に伴う胆汁中脂質組成および胆汁酸組成の変化を調べ, 併せて胆石溶解効果を検討した. 300mg/日, 600mg/日, 900mg/日のいずれの用量においても, 投与前に比して胆汁の lithogenicity に有意の改善をみとめた (p<0.05). これは主として胆汁中 cholesterol 比率の低下によるものと推察された. さらに, 胆汁中胆汁酸に占めるCDCA+UDCAすなわち"chenioid"の割合と Lithogenicity との関係からのUDCAの胆石溶解における至適投与量を検討し, 1日あたり8~12mg/kg体重あるいは600mg前後がその適量と考えた. なお, 今回の治験においては著しい副作用はみられなかつた.
  • 山本 祐夫, 辻井 正, 荒木 恒治, 大岡 照二, 垣内 義亨, 河合 弘毅, 北村 次男, 清永 伍市, 金 賢一郎, 清水 達夫, 高 ...
    1978 年 75 巻 4 号 p. 500-510
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    1972年 chenodeoxycholic acid (CDCA) の胆石溶解療法が発表されて以来, CDCAの7β-水酸基異性体である ursodeoxycholic acid (UDCA) もまた胆石溶解作用を有する可能性が注目され, 最近, その可能性を裏づける成績が報告されつつある. 本研究においても, 主として胆のう胆石患者を対象にUDCA100~450mgを4~24カ月投与し, 胆石溶解効果および安全性を検討した. 対象66中の有効率は34.9% (消失8/66, 縮小•減少15/66) であり, 石灰化のない例では有効率43.5% (20/46) を示した. 胆汁組成の検討を通じ, 胆汁中コレステロール溶存能の改善を認めた. UDCA療法は, 副作用も少なく, 適切な対象選択によつてかなり効果の期待できる有用な内科的胆石溶解療法であると考る.
  • 西岡 伸也, 中嶋 雅彦, 岡田 敏英, 杉浦 和夫, 花岡 明雄, 手島 洋一
    1978 年 75 巻 4 号 p. 511-522
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌の遠隔成績を検討する目的で, 進展度より stage I, II, IIIに分類して検索すると, その成績は手術法よりもむしろこの stage に依存していることが判明した. また stage Iで7例中2例 (28.6%) の5年生存が得られたにすぎず, stage IIでは拡大切除を行なつても術後平均8.5カ月の生存であることから, 手術時および剖検時の組織の検討より胆嚢そして胆管周辺の神経を含めた軟部組織と腹膜の切除が, 肝胆嚢窩切除, 総胆管周囲リンパ節廓清と同様重要であることが推察された. そして胆嚢癌からの胆道狭窄はPTCドレナージ, 場合により経皮的胆嚢ドレナージが有効で, stage IIIと術前に判明した場合は姑息的療法が優る.
  • 第4報 犬膵外分泌細胞間結合におけるランタントレーサーの動態について
    寺西 伸介
    1978 年 75 巻 4 号 p. 523-529
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    雑種成犬を用い, 水, 電解質の輸送機構を解明する目的で, ランタントレーサーの使用により犬膵外分泌細胞間結合における透過性について微細構造学的に観察し, セクレチン刺激例と比較した. 実験には犬膵の完全定流潅流を行い, イオンランタンを含む潅流液にて潅流した. その結果, ランタンは外分泌細胞の腺腔近くにある tight junction で完全に止められており腺腔へは流出しなかつた. しかしながら, セクレチン刺激により tight junction を越して腺腔内への流出がみられた. その流出は腺房細胞相互の細胞間隙からではなく, 腺房細胞と中心腺房細胞間, あるいは中心腺房細胞相互間および膵管細胞相互間の細胞間隙からおこることが明かにされた.
  • 小西 孝司, 泉 良平, 新村 康二, 小山 文誉, 村 俊成, 吉田 通章, 船木 宏美, 杉井 衛, 倉知 圓, 木南 義男, 宮崎 逸 ...
    1978 年 75 巻 4 号 p. 530-537
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    昭和45年1月から51年12月までの7年間に北陸地域 (富山, 石川, 福井県) で治験された膵石症を集計し検討を行つた. 膵石症は男25例, 女6例で, 平均年齢は男45.9歳, 女49.5歳である. 病悩期間は64.5%は3年以内で, 可成り短期間で膵石が形成されることが推定された. 疼痛は93.5%に見られたが, 6.5%は全く疼痛を認めなかつた. 成因は明らかにアルコールによるもの35.5%, アルコールの疑い12.9%, 胆道疾患9.7%, 急性膵炎3.2%, 原因不明38.7%である. 症例の84%に外分泌機能低下, 71.4%に内分泌機能低下をみた. 結石の広汎分布型ほど内外分泌機能異常が著しいが, 結石の限局型の4例は外分泌機能正常を示しており, 膵石症は必ずしも慢性膵炎の末期の病態とはいい難かつた.
  • 水本 龍二, 川原田 嘉文, 玉置 久雄, 岩崎 誠
    1978 年 75 巻 4 号 p. 538-544
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    高アミラーゼ血症を有する患者で急性膵炎を診断する場合にはアミラーゼクレアチニンクリアランス (ACCR) は有力な手掛りとなる. われわれは上腹部手術々後並びに急性膵炎症例につきACCRの変動を検討したところ, 術後高アミラーゼ血症をきたした患者の32.3%にACCRの6%以上の上昇がみられ, これらの症例では膵又は十二指腸に影響が及んだものが多かつた. ACCRが6%以上のものは急性膵炎と考えられるが, 同時に血清並びに尿中アミラーゼ値を考慮する必要がある. ACCRの上昇は一般に腎尿細管におけるアミラーゼの再吸収能の低下によると考えられているが, 急性膵炎に腎障害を続発した場合にはクレアチニンクリアランスの低下にも影響を受けるものと考えられる.
  • 佐藤 荘太郎, 平沢 堯, 今井 大, 田代 真人, 沼沢 誠, 若狭 治毅
    1978 年 75 巻 4 号 p. 545-551
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 原武 讓二, 中沼 安二, 太田 五六, 山田 浩, 前野 紘一, 沢田 米造
    1978 年 75 巻 4 号 p. 552-556
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    We have recently seen a case of hepatocellular carcinoma, in which the initial symptoms were paraplegy and sensory disturbance of the lower extremities without obvious hepatic signs. The radiological interpretation, at that time, revealed massive tumor formations in the thoracic vertebral column and the paravertebral space. During admission, signs of the complete spinal transection were noted, later followed by hepatic failure, and respiratory insufficiency due to metastatic lung cancer. At autopsy hepatocellular carcinoma with Miyake B' cirrhosis of the liver was noted, associated with metastases to the thoracic vertebrae and paravertebral connective tissue. The spinal cord in the affected vertebra revealed transverse compression necrosis due to such bone metastases. The present case is very rare and literatures concerning bone metastasis of hepatocellular carcinoma with its clinical manifestation are reviewed.
  • 今村 憲市, 中村 光男, 宮沢 正, 阿部 泰久, 中園 誠, 武部 和夫
    1978 年 75 巻 4 号 p. 557-562
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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