日本消化器病学会雑誌
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胃•十二指腸潰瘍の幽門洞粘膜におけるガストリン細胞分布に関する定量的検討
高橋 忠雄
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1978 年 75 巻 9 号 p. 1312-1321

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抄録

胃潰瘍10例, 十二指腸潰瘍12例を対象として, その切除標本の胃十二指腸粘膜におけるガストリン細胞(G細胞) の分布の状況を蛍光抗体法染色によつて定量的に検討して以下の成績を得た. 両群ともに単位粘膜表面積あたりのG細胞数は幽門洞で最も大きく, 移行帯と十二指腸起始部ではそれより明らかな低値を示し, 幽門洞では小弯側よりも大弯側に高値を示した. また幽門洞はいずれの細区域においても胃潰瘍群よりも十二指腸潰瘍群で高値を示した. これらの原因として粘膜固有層の厚さの差異と腸上皮化生の程度が関与するものと考えた. 移行帯を含む幽門洞全域の全G細胞数は胃潰瘍群 (0.872±0.207 SEM)×107個, 十二指腸潰瘍群(1.806±0.347)×107個で, 後者が有意の高値を示し, これらの全G細胞数は年齢および腸上皮化生の程度と有意の逆相関を示した.

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