日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵癌における十二指腸液中CEAの臨床的検討
山内 孝船越 顕博木村 寿成若杉 英之早川 滉井林 博
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 77 巻 6 号 p. 949-953

詳細
抄録

PSテストにより得られた十二指腸液中CEAを,Dinabot RIA kit two step法をこて測定した.十二指腸液各分画におけるCEA濃度は膵癌では慢性膵炎,対象群に比し高値傾向にあり,特にSecretin注射後40分のS3分画では,膵癌平均(M±SE)36.3±12.5,慢性膵炎23.0±8.6,対象群16.3±6.4ng/mlと膵癌では慢性膵炎,対象群に比し有意の増加(p<0.001)を認めた.以上の所見から十二指腸液S3分画のCEA測定が臨床的に膵癌の補助的診断として有用と考える.また膵組織中CEA濃度も膵癌では他の二群に比して有意の高値を示し,膵癌細胞でのCEA産生充進が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top