日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
セクレチンの胎盤通過性と母児相関に関する臨床的•実験的研究
滝澤 利男
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1981 年 78 巻 10 号 p. 1929-1935

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抄録

消化管ホルモン,特にセクレチンの胎盤通過性と母児相関を明らかにし,消化管の発生•発育との関連性を解明するため本研究を行つた. 1. 満期正常分娩における娩出直後の膀帯混合血セクレチンは47.2±15.7pg/mlであり,同時期の母体静脈血値95.5±25.0pg/ml.にくらべ明らかに低値を示した.2. 妊娠マウスに油性セクレチンを分娩まで連続投与すると,対照群に比し新生仔の胃の重量は平均20.1%,大きさは26.0%少なく,組織学的に胃粘膜の発育が不良であつた.これらの結果よりセクレチンは胎盤を通過すること,しかしその通過はあまり良くないこと,またセクレチンは胎生期の胃の発生•発育に対して抑制的に作用すると考えられた.

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© 財団法人 日本消化器病学会
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