日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性胃粘膜病変の成因に関する検討
(第3報)臓器反射スペクトル解析による頭部外傷,熱傷後の胃粘膜血流動態に関する研究
鎌田 武信佐藤 信紘川野 淳中川 彰史福田 益樹房本 英之七里 元亮阿部 裕杉本 侃
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1981 年 78 巻 12 号 p. 2302-2307

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抄録

頭部外傷又は熱傷に合併する急性胃粘膜病変の成因の検討を臓器反射スペクトル解析法を用いて行なった.頭部外傷9例,熱傷6例を対象に,受傷後早期に内視鏡下に胃粘膜血液量を測定し,その後経時的に胃内視鏡を施行し,病変発生の有無を検討した.コントロール群として健常成人男子7例を用いた.その結果受傷後,粘膜血液量,粘膜内血液のオキシヘモグロビン量は低下し,コントロール群のそれの約30%以下の症例で粘膜血液量測定後3日以内に病変が体部粘膜に認められた.一方幽門部粘膜には病変は認められなかつた.以上より受傷により粘膜血液量の低下と酸素供給不足がおこり,体部粘膜が好気的エネルギー産生の盛んなことと相まつて,低酸素状態に陥ち入り細胞障害が起り病変が発生することが臨床的に確められた.

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