1981 年 78 巻 12 号 p. 2330-2336
潰瘍性大腸炎30例の患者末梢血リンパ球につき,ヒト大腸抗原と共通抗原性を有するラット大腸粘膜細胞を標的細胞として51Cr-release cytotoxicity assayを行なつた.本症(特に活動期の)患者末梢血リンパ球は大腸細胞障害性を示したが,この細胞障害性はnon-T分画のリンパ球により行なわれていた.一方,本症患者血清を正常人末梢血リンパ球に加えたCytotoxicity assayでも,大腸細胞障害性が認められた.さらに,この血清で処理したラット大腸細胞をfluorescence activated cell sorterにかけることにより血清中の抗大腸抗体の存在が明らかとなつた.以上より,本症における大腸粘膜の破壊にantibody dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC)機序の関与していることが示唆された.