腸上皮化生は著者がすでに報告した如く,Alcian blue-PAS重染色によつて完全型化生と不完全型化生に分けることが出来る.粘膜内癌34例の癌の両側に隣接する腸上皮化生の態度を検討すると,分化型癌では1cm以下の小さな癌は不完全型化生と隣接する頻度が高く,1cm以上の癌ではこの関係は多少不明瞭になる.低分化型癌では腸上皮化生について一定の傾向は認められなかつた.また形態学的に不完全型化生では完全型化生に比較して核配列が不安定である.以上の成績から分化型癌は不完全型腸上皮化生と密接な関係にあることが考えられる.
腸上皮化生を生体観察するためにメチレンブルーによる間接散布法で内視鏡観察を16例に行つたが,完全型化生と不完全型化生を確実に識別することは困難であつた.