日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
劇症肝炎に合併した腎障害
39症例についての臨床病理学的検討
小坂 義種爲田 靱彦川原田 力也高瀬 幸次郎大石 明徳伊藤 信康益田 洋一松尾 幹雄塚本 久和田中 健二浜口 浩一国吉 幹夫伊藤 敏秋荒岡 保郎垣内 佐十志小林 道生松本 久史
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1981 年 78 巻 4 号 p. 864-873

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抄録

劇症肝炎39例について,経過中にBUNが35mg/dl以上かCreatinineが2.0mg/dl以上をきたした症例を腎不全合併例とし,腎不全の合併率,腎不全合併例の臨床像,腎不全合併例と非合併例の臨床病理学所見の差異を検討した.劇症肝炎39例における腎不全の合併は18例(46.2%)と高率にみられ,かつ,臨床経過のあらゆる時期に認められた.腎不全合併時には,電解質,酸塩基平衡の異常などが多くの症例でみられたが,収縮期圧80mmHg以下の低血圧は1例も認めなかつた.腎不全合併例と非合併例で臨床所見,検査所見,DIC合併率に差は認められなかつたが,剖検例の腎組織所見では腎不全合併例で急性尿細管壊死に相当する所見が多く認められた.

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