日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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小腸実験潰瘍の走査電子顕微鏡学的研究
第二編インドメサシン潰瘍における表面微細形態の観察
山田 淳智
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1981 年 78 巻 5 号 p. 1029-1039

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抄録

インドメサシンによる小腸粘膜傷害の形態学的変化を調べる目的で,ラットにインドメサシン20mg/kgを皮下注射し,実体顕微鏡,光学顕微鏡を併用し,主として走査電子顕微鏡を用いて観察した.初期変化はインドメサシン投与1時間後の小腸粘膜に極く限局した小発赤点として現われ,同部では絨毛内の血液の残存,絨毛先端部の上皮細胞の剥離がみられた.時間の経過とともにvillous coreが露出し,絨毛間にも傷害がおよび,24時間後では浅い潰瘍が形成された.3日後では,潰瘍は多発して深くなり傷害極期の像を呈していた.10日後では,絨毛は潰瘍に向つて配列し,潰瘍側は先細りして柵状を呈した再生上皮へと移行し,強い治癒傾向がみられた.

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