日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
肝・胆道疾患における高比重リポ蛋白に関する研究
山下 佐知子
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1982 年 79 巻 2 号 p. 249-258

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抄録

Heparin-Ca法によるHDL-Ch値の測定を215例の肝疾患患者について行なた.正常人97名の平均値は61.89±10.74mg/dlであり,肝疾患ではHDL-Ch値は低値を示し,正常人との間に有意差(p<0.001)が認められた.HDL-Chはアルカリフォスファターゼ,コリンエステラーゼ,アルブミン,LCAT活性値,赤血球最大浸透圧低抗とよく相関した.このように,HDL-Ch の測定は,肝疾患の重症度を診断するのに有用であると考えられる.さらに,肝・胆道疾患患者において,超遠心法による血清リポ蛋白の各分画についてアガロース・ゲルによる電気泳動像の検討および電顕的観察を行ない,肝・胆道疾患時にはαリポ蛋白バソドの欠如と,HDLの著明な減少が認められることを証明した.

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