日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Endotoxinに対するPolymyxin Bの作用について
その臨床的検討
岩崎 正高神代 龍吉和田 達郎前山 豊明長田 英輔川口 元也安倍 弘彦谷川 久一
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キーワード: 界面活性効果
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1982 年 79 巻 2 号 p. 241-248

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抄録

Polymyxin BがEndotoxinに及ぼす作用を調べるため,in vitroでPolymyxin BとEndotoxin溶液を混和してLimulus Testを行い,更に,Polymyxin Bを300万単位/日3日間重症肝障害例22例に経口投与した.in vitroでは,Polymyxin Bは0.1~0.01mg/mlの濃度でEndotoxin1×10-5~1×10-7mg/mlの濃度の場合のPregelの凝固を阻害した.polymyxin B経口投与例では,投与前Endotoxin血症を示す肝硬変4例,原発性肝癌5例のそれぞれ各4例にEndotoxin血症が改善した.対照として用いたKanamycinにはPregelの凝固阻害作用はなく,肝硬変3例への経口投与例でもEndotoxin血症の改善は見られなかつた.Polymyxin BによるEndotoxin血症の改善にはその殺菌的な作用と界面活性効果による抗Endotoxin効果の2つが同時に関与していると推測された.

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