日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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膵超音波像の臨床病理学的研究
木本 英三内藤 靖夫中沢 三郎
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1982 年 79 巻 2 号 p. 266-275

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抄録

膵超音波像の意義を明らかにするため,切除標本44例で超音波像と病理所見を対比した.正常膵は一層の被膜エコーをもち,内部には強度差の少ない点状エコーが均一に配列していた.慢性膵炎では高度結合織増生はエコーレベル軽度低下を示した.脂肪化膵はび漫性エコーレベル上昇を示した.膵嚢胞では壁,内腔の変化がよく捉えられた.膵癌はI.低エコー型II.中心エコー型III.不整高エコー型にわけられ,乳頭管状腺癌はIIないしIII型で,管状腺癌はI型が多かつた.結合織豊富な硬性型はI型,中間型,髄様型はII III型が多かつた.ルーペ像上で全体に密,辺縁部密で中心粗,全体に粗に分けると,各I II III型にほぼ対応した.中心凝固壊死のあるものはII型を示し,液化壊死は腫瘍内嚢胞像を示した.

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