日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
トリプシンと血中蛋白分解酵素インヒビターの相互作用に関する研究
岩木 研次郎小川 道雄北原 健志田中 重則神前 五郎
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キーワード: 血中存在様式
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1982 年 79 巻 2 号 p. 276-281

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抄録

ヒト膵液よりtrypsinを分離精製し,外因性trypsinの血中存在様式およびradioimmunoassay(RIA)系による内因性trypsinの血中存在様式を検討した.外因性trypsinは正常血清ではα2-macro-globulin (α2M)に多く結合し,trypsinの量が増加するとともに,過剰のtrypsinはα1-antitrypsin(αlAT)に結合した.一方急性膵炎血清では少量の外因性trypsinでも α1AT とより多く結合した.これはすでにα2M と結合したproteaseが存在するためと考えられた.またtrypsinのinhibitorとの結合は血中のprotease inhibitorの量および量比にも影響された.内因性trypsinは急性膵炎血清ではα1AT,inter-α-antitrypsinとも結合して存在したが,α2M のfractionからは検出できなかつた.

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