日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
多変量解析によるアルコール性肝疾患病型の検討
笠原 彰紀林 紀夫吉原 治正目連 晴哉井上 敦雄房本 英之佐藤 信紘鎌田 武信阿部 裕久保田 真司竹谷 直喜高岡 愛明
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1983 年 80 巻 3 号 p. 851-856

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抄録

アルコール性肝疾患93例 (肝硬変34例, 肝線維症38例, 慢性肝炎10例, アルコール性肝炎4例, 脂肪肝4例, 他3例) の肝機能成績を変数選択型判別分析を用いて多変量解析し, 肝組織像と比較検討した. 各病型の判別に寄与する項目は, γ-globulin, GOT/GPT比, GPT, 積算アルコール摂取量の4項目で, この4項目を用いれば, 肝硬変, アルコール性肝炎の判別はそれぞれ64%, 75%を示した. しかし肝線維症高度, 中等度, 脂肪肝の判別力は低かつた. 疾患群を限定し肝硬変症と肝線維症の判別を行なうと判別に寄与する項目は, γ-globulin, 積算アルコール摂取量, Al-Pの3項目で, これらの項目を用いれば, 肝硬変症, 肝線維症のそれぞれ76%, 79%の判別が可能であつた.

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