日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性肝疾患患者における食事摂取の門脈血流におよぼす影響について
リニア電子スキャン•パルスドップラー複合法による定量的測定
森安 史典伴 信之兼松 雄象西田 修中村 武史酒井 正彦内野 治人三宅 健夫
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1984 年 81 巻 11 号 p. 2767-2774

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抄録

健康成人10例, 慢性肝炎活動性10例, 肝硬変症10例の計30例を対象として, 食事摂取後の門脈血行動態の変化を検討した. 測定には, リニア電子スキャン•パルスドップラー複合装置を用いた. 空腹時の門脈血流量は, 3群間で差を認めなかつたが, 食後1時間では, 正常者群77%, 慢性肝炎活動性群47%, 肝硬変群26%の平均増加率を示し, 3群間に有意差を認めた. 一方脾静脈血流の増加は3群間に有意差を認めなかつた. 本法による測定は, 非侵襲的で生理的条件下で体表から門脈血流を測定し得るため, 従来の方法では困難であつた, 食事負荷などの機能状態下での門脈血行動態の解析に有用と思われた.

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