ヒト肝 epoxide hydrolase (EH) を剖検肝より Lu らの方法に準じて, 分子量50,000, 酵素活性361unit/mg蛋白量の単一蛋白として精製し, 特異抗EH血清を作成した. 次いで, 手術, または剖検により得られた肝細胞癌25例の担癌肝組織について, EH, γ-glutamyl transpeptidase, α-fetoprotein の局在を組織化学的に比較検討した. EHの肝癌部における局在は, 非癌部に比較して, 4例 (16%) で増加, 12例 (48%) で不変, 9例 (36%) で減少し, 分化型の肝癌細胞において増加傾向がうかがえた. これより, EHがヒト肝細胞癌の病態究明にとつて, 有用な膜蛋白であることが示唆された.