日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
門脈圧亢進症における膵の組織学的検討
齋藤 実
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1984 年 81 巻 6 号 p. 1444-1452

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抄録

門脈圧亢進症は膵が硬く赤色調を帯びた症例, 耐糖能異常を示す症例が多い. 本症の膵生検を95例に施行して病理組織学的に検討し, 臨床検査成績との対比を試みた. 本症の膵組織変化は, 毛細血管の拡張, 細小静脈の弾性線維の乱れ, 不規則化, 小葉間および小葉内線維化, ラ島の大小不同, 肥大, 硝子様変性等である. 膵線維化の発生機序としては, 慢性的な膵の鬱血が重要な一因子である. ラ島硝子様変性は耐糖能異常との関係が示唆され, ラ島の肥大は肝障害時におけるインシュリン需要の増大に対する代償の結果と考えられる. 本症の膵は, 外分泌腺, 内分泌腺ともに高度な変化が見られ, 術前のみならず術後長期管理において膵機能に十分留意する必要がある.

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