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川島 利信
1984 年 81 巻 6 号 p.
1355-1364
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
著者は, 2-Deoxy-D-Glucose (2-DG) による迷走神経刺激時の壁細胞の3受容体の相互関係を明らかにする目的で, 全胃瘻ネコに cimetidine (H
2受容体拮抗剤) および pirenzepine (acelylcholine 性muscarin 受容体拮抗剤)を用い検討した. histamine 刺激後のMAOを50%抑制する cimetidine 量(ID 50 cimetidine 量)は0.53mg/kgで, bethanechol 刺激後のMAOを50%抑制する pirenzepine 量(ID 50pirenzepine 量)は0.4mg/kgであつた. 著者は2-DG刺激下でID 50 cimetidine 量およびID 50 pirenzepine 量を単独または併用投与した時の酸分泌量を測定し, 壁細胞における acetylcholine 受容体, gastrin 受容体および histamine 受容体の酸分泌に関与する割合を算出した. その結果3受容体の割合はおよそ1:4:3であることが分つた.
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モルモット遊離胃腺における胃酸分泌と細胞内 cyclic AMPの検討
西原 秀一郎
1984 年 81 巻 6 号 p.
1365-1376
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃酸分泌機構を細胞レベルで解明する目的で, モルモット胃底腺粘膜より collagenase 処理にて壁細胞の豊富な遊離胃腺を分離し, 胃酸分泌の in vitro 実験系を確立した. 同胃腺に histamine 刺激を行い, 細胞内 cyclic AMPの増加と共に胃酸分泌の指標としての
14C-aminopyrine 集積率の増加を認めた. これらの増加はH
2受容体拮抗剤である cimetidine にて有意の抑制を示し, histamine 刺激胃酸分泌は, 主に壁細胞のH
2受容体-cyclic AMPを介していると推定される. 一方, pentagastrin 並びに carbachol 刺激では
14C-aminopyrine 集積率の増加は認めたが, 細胞内 cyclic AMPは増加せず, 両者の刺激による胃酸分泌には cyclic AMPの関与は少ないと考える. さらに, 上記三種類の胃酸分泌刺激剤にて胃酸分泌反応が認められた所見は, 胃酸分泌機構として Grossman の唱える three receptor 説を支持する成績である.
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船津 隆
1984 年 81 巻 6 号 p.
1377-1387
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
潰瘍性大腸炎の治癒判定をするために, 生検組織を走査電顕で観察し, 1mm
2当たりの大腸腺数を算定し, これを大腸腺密度数と呼ぶこととした. 健常者60例 (直腸) の大腸腺密度数は, 107.0±27.3/mm
2 (Mean±SD) で, 性差, 年齢差はなかつた. 潰瘍性大腸炎18例29病変では, 活動期潰瘍 (+) 群23.4±10.1/mm
2, 活動期潰瘍 (-) 群45.8±24.7/mm
2, 寛解期群91.9±23.5/mm
2で, 活動期群と寛解期群の間には有意差があり, 寛解期群と健常例の間には有意差がなかつた. 従つて, 寛解期群は, 健常例とかわらず, 治癒した状態と判断できた. 以上の結果から, 大腸腺密度数は, 潰瘍性大腸炎の治癒判定に有用であつた.
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長嶺 竹明, 山田 昇司, 佐伯 俊一, 高橋 仁公, 阿部 毅彦, 桜井 誠司, 山田 俊彦, 湯浅 圭一朗, 市川 邦男, 竹沢 二郎, ...
1984 年 81 巻 6 号 p.
1388-1397
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種肝疾患84例と健常対照群21例に75g OGTTを施行し, 血糖, 血中IRI, IRGを測定して次の結論を得た.
(1) 1例を除き空腹時血糖140mg/dl以上の症例は存在しなかつた. また2時間値200mg/dl以上の糖尿病型はCAH 30%, LC 40%, HF 12.5%を占め, 50g OGTTの成績と比べ糖尿病型の頻度は低率であつた.
(2) 肝疾患では糖負荷により血中IRIが高反応を示した. またLCではIRGの基礎分泌が有意に増加し, 糖負荷によりIRGの抑制傾向を認めた.
(3) 肝疾患に糖尿病を合併した症例では非合併例に比べΔIRI/ΔBS (30分) 比が有意に低く, Hb A
1は有意に高く, 両者の鑑別の指標として有用であると思われた.
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V. 性ホルモンによる antibody-dependent cell-mediated hepatocytotoxicity の調節とインターロイキン-1の関与
加藤 寛子, 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 宮島 慶治, 池本 吉博, 新井 孝之, 阪上 吉秀, 山本 祐夫, 森沢 成司
1984 年 81 巻 6 号 p.
1398-1404
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity による in vitro における肝細胞障害は, 女性ホルモンで前処理したマクロファージ (mφ) 培養上清を実験系に添加することによつて増強された. この女性ホルモン処理mφ培養上清を Sephadex G-75カラムで分画すると, ADCC反応増強因子は比較的低分子のポリペプチドであり, 分子の大きさおよび胸腺細胞のPHAによる増殖を増強する活性を有することからインターロイキン-1 (IL-1) に類するものと考えられた. また, mφを女性ホルモンで処理する際に, 男性ホルモンを同時に添加すると, ADCC反応増強活性もIL-1類似の作用も認められなくなつた. これらのことから, ADCC反応による肝細胞障害の少くとも一部が性ホルモンによつて調節される可能性が示唆された.
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清島 満, 奥野 文隆, 青木 泰然, 吉田 洋, 山田 昌夫, 安藤 喬, 武藤 泰敏, 高橋 善弥太
1984 年 81 巻 6 号 p.
1405-1416
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胆汁うつ滞症のHDL
2分画 (1.063<d<1.125) は heparin-Sepharose affinity chromatographyにより, unbound, bound I, bound IIの3分画に分離された. unbound は Apo Eを含まず, 直径10nmの球状粒子であり, bound Iと bound IIは Apo Eを含み, Apo E-rich HDLと考えられた. 特に bound IIは Apo Eを多く含み, 一部連銭形成が認められた. また unbound に比べ, bound Iと bound IIはリン脂質と遊離コレステロールに富み, 蛋白質は減少していた. しかし bound IIには Apo Bも認められ, LDLおよびLp (a)が混入していると考えられた. 胆汁うつ滞症においては, Apo E-rich HDLの増加が著しく, その理由としてLCAT活性の低下以外に, 肝外起源のHDLの関与および Apo E-receptor を介した肝細胞における Apo E-rich HDLの異化障害なども示唆された.
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西野 晴夫, 須田 都三男, 三上 誠, 矢部 秀樹, 小笠原 久隆, 田中 照二, 堀口 正晴
1984 年 81 巻 6 号 p.
1417-1425
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患や劇症肝炎における肝性脳症期に一致して, 血清 glutamic dehydrogenase (GLDH) 活性と ornithine carbamyl transferase (OCT) 活性が相関して上昇し, それらの変動は肝性脳症の経過をよく反映した. 諸肝機能検査の中で, 血清GLDHとOCT活性は, 肝性脳症において著しく優位に上昇した. 血清GLDHとOCT活性のこのような変動は, 各種肝疾患の病態の中で, 飲酒期のアルコール性肝疾患を除くと肝性脳症期に比較的特徴的変動であつた. これらより, 血清GLDHとOCT活性の経過は, 肝性脳症の診断と予後に有力な指標となることが示唆された. 肝性脳症期における血清GLDHとOCTの上昇は, 主に肝細胞のミトコンドリア障害によつて起こると考えられた.
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大西 久仁彦, 斉藤 正之, 中山 隆雅, 塚本 俊彦, 杉田 周次郎, 寺林 秀隆, 和田 勝則, 三島 昭彦, 波多野 等, 野村 文夫 ...
1984 年 81 巻 6 号 p.
1426-1429
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Aminoalkylfuran 核を有し, 強力なヒスタミン
2受容体拮抗剤, ranitidine の肝並びに全身血行動態への影響を慢性肝疾患患者8人で検討した. 一回常用静脈投与量50mgの ranitidine を経静脈的に25分で投与したが, 負荷前後の肝血流量 (肝静脈カテーテルとICGを用いた方法), 門脈血流量 (リピオドール滴とシネ血管撮影装置を用いた方法, 超音波ドップラー法), 心拍出量, 門脈圧に変動は認められなかつた. Ranitidine は肝疾患患者においても, 肝血行動態の点から考え, 安全に使用しうる薬剤と考えられる.
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小口 寿夫, 本間 達二, 長田 敦夫, 川 茂幸, 平林 秀光, 田村 泰夫, 門野 聡, 白井 忠, 嶋倉 勝秀, 小池 ゆり子, 松田 ...
1984 年 81 巻 6 号 p.
1430-1435
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
新しい腫瘍マーカー, 糖鎖抗原 (CA19-9) をRIA法で測定し, その臨床的有用性を検討した. 対象は消化器系を主とした悪性疾患166例, 良性疾患75例と健常人90例である. 膵癌35例と胆道癌12例は各々83%, 4例の胆管癌は全例陽性であり, 他の悪性疾患は0~40%陽性であつた. 慢性膵炎は20%, 胆石症は3例中2例陽性であり, 他の良性疾患は0~13%, 腎不全は47%陽性であつた. CA19-9はCEAや著者らの抽出したPOAと相関がなかつた. この抗原は膵癌の根治手術例で低下し, 病態の追跡や治療効果のモニターにも有用であつた. 以上より, CA19-9は膵•胆道癌の最も有用な腫瘍マーカーの一つであると思われた.
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衣笠 勝彦, 加嶋 敬, 稲田 安昭, 堀居 雄二, 森永 理, 片岡 慶正, 山根 行雄, 瀧野 辰郎
1984 年 81 巻 6 号 p.
1436-1443
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
種々の疾患を含む54名にPS試験が施行され, γ-GTP排出量が測定された. γ-GTP排出量は膵外分泌機能との関係が少なく, 胆汁中のγ-GTPを反映していた.γ-GTP排出量と血清γ-GTPは有意に相関しており, 胆汁と血中への流出が平行していた. 肝硬変症と胆石症でγ-GTP排出量が control に比し有意に増大していたが, 胆石症では血清γ-GTPの上昇は有意でなかつた. 両疾患の胆汁および血中のγ-GTPのゲル濾過は2つの明らかな peak を有し, 1つは重合したγ-GTP, 他の1つは protease で分解されたγ-GTPであつた. 両疾患でのゲル濾過のパターンの差はγ-GTPの膜から溶出される機構の差よりも, むしろ溶出されてから後の protease による修飾を示すものと思われた.
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齋藤 実
1984 年 81 巻 6 号 p.
1444-1452
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
門脈圧亢進症は膵が硬く赤色調を帯びた症例, 耐糖能異常を示す症例が多い. 本症の膵生検を95例に施行して病理組織学的に検討し, 臨床検査成績との対比を試みた. 本症の膵組織変化は, 毛細血管の拡張, 細小静脈の弾性線維の乱れ, 不規則化, 小葉間および小葉内線維化, ラ島の大小不同, 肥大, 硝子様変性等である. 膵線維化の発生機序としては, 慢性的な膵の鬱血が重要な一因子である. ラ島硝子様変性は耐糖能異常との関係が示唆され, ラ島の肥大は肝障害時におけるインシュリン需要の増大に対する代償の結果と考えられる. 本症の膵は, 外分泌腺, 内分泌腺ともに高度な変化が見られ, 術前のみならず術後長期管理において膵機能に十分留意する必要がある.
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西脇 英樹, 佐竹 克介, 梅山 馨, W. Y. Chey, K. Y. Lee
1984 年 81 巻 6 号 p.
1453-1459
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵瘻犬を用いて, アルコールの血漿セクレチン分泌および膵外分泌反応におよぼす影響について検討した. 胃内アルコール単独投与により, 血漿セクレチンおよび膵液量, 膵HCO
-3分泌は亢進した. しかし, 十二指腸内アルコール投与では, 明らかな血漿セクレチン分泌の増加は認められなかつた. Integrated secretin release では, 食餌+アルコール投与群では7.6±1.3ng/ml/120分と食餌単独投与群の4.5±0.7ng/ml/120分に比べて高値の反応が認められ, 膵外分泌反応でも増加亢進が示された. また, この高分泌反応は cimetidine の前投与により明らかに抑制された. 以上より, アルコール摂取による血漿セクレチン分泌亢進反応はアルコールによる胃酸分泌を介する反応と考えられた.
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岡崎 和一, 山本 泰朗
1984 年 81 巻 6 号 p.
1460-1467
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
我々の開発した microtransducer を用い, 経内視鏡的に膵管内圧, 乳頭部圧を測定, 同時に基礎分泌膵液の粘稠度を測定した. 乳頭収縮圧は正常人群 (n=14) 106.3±74.5mmHg, 慢性膵炎群 (n=14) 132.8±68.4mmHgで両群間に有意差を認めない. 膵管内圧では正常人群の18.1±8.6mmHgに比し, 慢性膵炎群で65.7±31.2mmHgと有意に高く全例で圧上昇を見た. 膵液粘稠度は正常人群の1.72cpに比し, 慢性膵炎群では2.62cpと明らかに高値を示した. secretin 負荷により, 膵液分泌量の少ない慢性膵炎では膵管内圧は著明に低下した. 従つて慢性膵炎における膵管内圧の上昇は乳頭部運動不全に基くとの確証はなく, 膵管内圧は膵液粘稠度, 膵液量等により左右されると考えられた.
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渡辺 守, 北洞 哲治, 相磯 貞和, 吉田 武史, 小林 研介, 日比 紀文, 朝倉 均, 嵯峨 実枝子, 加野 象次郎, 土屋 雅春
1984 年 81 巻 6 号 p.
1468-1473
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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宍戸 洋, 浅木 茂, 岩井 修一, 増田 幸久, 西村 敏明, 佐藤 彰, 榛沢 清昭, 金沢 徳昭, 佐藤 勝久, 大原 秀一, 畑山 ...
1984 年 81 巻 6 号 p.
1474-1479
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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〓 桂植, 畠山 元, 中作 修, 藤堂 泰造, 加藤 保之, 青木 豊明, 梅山 馨, 新田 貢, 伊藤 佐喜男
1984 年 81 巻 6 号 p.
1480-1484
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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鬼束 惇義, 矢野 好弘, 山田 直樹, 田辺 博, 日野 晃紹, 尾関 豊, 林 勝知, 堀谷 喜公, 後藤 明彦
1984 年 81 巻 6 号 p.
1485-1488
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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山本 泰朗, 橘 真理, 栄枝 弘司, 岡崎 和一, 山本 泰猛
1984 年 81 巻 6 号 p.
1489
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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塩見 進, 黒木 哲夫, 小林 隆, 鎌田 悌輔, 小林 絢三, 山本 祐夫, 越智 宏暢, 門奈 丈之
1984 年 81 巻 6 号 p.
1490
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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内皮細胞障害作用
正木 盛夫, 三橋 彦也, 近藤 祐一郎, 鈴木 秀, 和田 敏正, 斉藤 孝一, 藤原 和雄, 小原 勝敏, 栗原 陽一, 森藤 隆夫, ...
1984 年 81 巻 6 号 p.
1491
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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硬化療法後の血流変動の検討
村上 元庸, 三宅 健夫, 児玉 正, 瀧野 辰郎
1984 年 81 巻 6 号 p.
1492
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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岡崎 和一, 森田 雅範, 坂本 芳也, 井戸 英司, 藤川 正直, 前田 隆, 宮尾 昌宏, 宮崎 正子, 大西 三朗, 山本 泰朗, 山 ...
1984 年 81 巻 6 号 p.
1493
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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岡崎 和一, 森田 雅範, 坂本 芳也, 中沢 慶彦, 宮崎 正子, 山本 泰朗
1984 年 81 巻 6 号 p.
1494
発行日: 1984年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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