1985 年 82 巻 10 号 p. 2562-2568
炎症性腸疾患患者の大腸粘膜培養液中の prostaglandin (PG) E2, thromboxane (TX) B2, 6-keto-PGF1αを radioimmunoassay 法にて測定した. 潰瘍性大腸炎 (UC) 活動期では, PGE2, TXB2, 6-keto-PGF1αとも緩解期に比し, 有意の高値を示した. 6-keto-PGF1αとTXB2の比は活動期では緩解期に比し有意の低値を示した. また, これらは活動期から緩解期へと経過を観察できた症例においても同様の傾向を示した. クローン病では活動期のPGE2が正常対照に比し有意に高値を示したが他では有意差を認めなかつた. UCの炎症反応において, PGE2, TXA2, PGI2は炎症の chemical mediator のひとつとして作用している可能性があると考えられた.