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正常例および胃潰瘍について
岩井 修一, 浅木 茂, 西村 敏明, 佐藤 彰, 大原 秀一, 渋谷 大助, 後藤 由夫
1985 年 82 巻 10 号 p.
2529-2537
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃疾患の病態を胃温度分布という観点から解明する目的で胃粘膜温度を測定し相対的な温度を指標に検討し, 次のような結論を得た. 1. 正常例の温度測定では, 胃各区域の温度分布は, 症例ごとにことなつたが, 後壁優位型および胃体部優位型が多かつた. 2. 胃潰瘍では実験的にも臨床的にも治癒とともに周辺粘膜と再生粘膜部との温度差が小さくなる傾向を認めた. 3.瘢痕として経過中の例では, 瘢痕中心が周辺正常粘膜より低い症例は再発性潰瘍症例に多く, 平均瘢痕期持続期間も短かかつた.
局所の血管分布や血流状態などを反映すると考えられている胃粘膜の温度測定は, 潰瘍の難治化や再発の予測に役立つと考えられた.
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岡 紳爾, 野田 健一, 村田 誠, 新開 泰司, 原田 元, 多田 正弘, 衣川 皇博, 松田 和也, 柳井 秀雄, 岡崎 幸紀, 竹本 ...
1985 年 82 巻 10 号 p.
2538-2543
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
γ-glutamyl transpeptidase (GGT) の胃癌および腸上皮化生における出現意義を究明する目的で15例の胃癌組織に含まれるGGT活性の定量的検討と38病変のGGTと alkaline phosphatase (ALP) 活性の局在の組織化学的検索を行なつた.
組織のGGT活性は分化型癌24.9±15.9(U/g.protein), 未分化型癌6.0±2.4, 腸上皮化生8.2±1.3, 胃底腺粘膜5.2±1.1であり, 分化型癌で有意に高値であつた. GGT 活性の局在は, 腸上皮化生では全例に活性の存在する部位がみられ, しかもそれらはALPの局在との間に一致性がみられた. さらに分化型癌では74%, 未分化癌では40%の症例にみられ, 局在頻度は分化型癌で有意に多くみられた.
以上より, 胃癌におけるGGP出現は一元的なものではないと考えられるが, とくに分化型癌と腸上皮化生の関連を究明するうえにおいてGGTが重要な指標となりうることが示唆された.
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西巻 正, 渡辺 英伸, 武藤 輝一
1985 年 82 巻 10 号 p.
2544-2553
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
消化性潰瘍を癌巣内に合併する胃癌は759病変中131病変 (17.3%) であつた. 131病変の潰瘍合併胃癌の特徴を病理組織学的に分析した. 潰瘍合併胃癌の特徴は, 肉眼型が陥凹型早期癌あるいは陥凹型早期癌類似進行癌, 組織型が未分化型癌, 好発部位が中間帯などであつた. 癌が粘膜下層以下に浸潤すると潰瘍は深部浸潤部に合併しやすく, このために悪性サイクルを呈す胃癌は発育が緩徐であると推測された. また逆追跡で癌の浸潤部に消化性潰瘍の続発が証明された1例と線維症の時相 (F分類) から, 癌の浸潤部に隣接し, F
1あるいはF
2の線維症を呈す潰瘍は癌浸潤巣に2次的に生じた潰瘍であると考えられた.
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清水 豊, 中澤 三郎
1985 年 82 巻 10 号 p.
2554-2561
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラットDMH大腸発癌実験に及ぼす食餌因子及び胆汁酸の影響を検討する為に, 高脂肪食, コレスチポール食, 高線維食, 高脂肪•高線維食, 普通食の5群について, 腫瘍の発生頻度を検討するとともに, 糞便中胆汁酸量を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し, 大腸癌発生に及ぼす胆汁酸の影響についても検討した. 腫瘍発生頻度は, 糞便中胆汁酸量の多い高脂肪食, コレスチポール食などで増加したが, 高線維食は糞便中胆汁酸が低下していないにもかかわらず腫瘍発生頻度は減少し, 特に高脂肪食に高線維食を加えると腫瘍発生の抑制効果が明らかで, ラット大腸癌発生に及ぼす効果は高線維食による抑制作用が高脂肪食による促進作用より優位である結果が得られた.
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とくに cyclooxygenase 代謝産物について
山崎 日出雄, 樋渡 信夫, 後藤 由夫
1985 年 82 巻 10 号 p.
2562-2568
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
炎症性腸疾患患者の大腸粘膜培養液中の prostaglandin (PG) E
2, thromboxane (TX) B
2, 6-keto-PGF
1αを radioimmunoassay 法にて測定した. 潰瘍性大腸炎 (UC) 活動期では, PGE
2, TXB
2, 6-keto-PGF
1αとも緩解期に比し, 有意の高値を示した. 6-keto-PGF
1αとTXB
2の比は活動期では緩解期に比し有意の低値を示した. また, これらは活動期から緩解期へと経過を観察できた症例においても同様の傾向を示した. クローン病では活動期のPGE
2が正常対照に比し有意に高値を示したが他では有意差を認めなかつた. UCの炎症反応において, PGE
2, TXA
2, PGI
2は炎症の chemical mediator のひとつとして作用している可能性があると考えられた.
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森本 日出雄, 古沢 明彦, 鵜浦 雅志, 田中 延善, 加登 康洋, 小林 健一, 服部 信
1985 年 82 巻 10 号 p.
2569-2575
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
eAg 陽性慢性肝炎活動性例および eAb へ seroconversion した症例について末梢血, 肝組織における T cell subsets をOKTシリーズ, Leu シリーズを用い検討した. 末梢血では eAb 陽性例は control および eAg 陽性例に比しOKT3, OKT8陽性細胞は少なく, 肝組織門脈域全域では eAb 陽性例は eAg 陽性例に比し Leu2a 陽性細胞は少ない事より, eAb の出現に suppressor T cell の変化が関与している可能性が推測された. 一方, piecemeal necrosis 部では eAb 陽性例は eAg 陽性例に比し Leu2a 陽性細胞が少ない事より, eAb の出現により killer T cell が減少する可能性が示唆され, また killer T cell の減少に suppressor T cell 系が関与する可能性も推測された.
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母娘発生例よりの検索を中心に
西原 利治, 前田 隆, 藤川 正直, 栄枝 弘司, 富田 昭, 大西 三朗, 伊藤 憲一
1985 年 82 巻 10 号 p.
2576-2581
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性胆汁性肝硬変症 (PBC) では種々の自己免疫現象を伴う一方, Mantoux 反応の陰性化など外来抗原に対する免疫応答の低下が知られている. このような外来抗原に対する反応性低下の機序を明らかにするためPBCの母娘発生例を中心にPPDに対する反応をモデルとし検討を加えた. その結果, (1) PBC患者単球はPPD刺激下でT細胞に対して充分な抗原提示能を有し, 従来想定されていた suppressor MΦによるリンパ球幼若化能に対する抑制が認められないこと, (2) PPD刺激下における単球のIL-1産生能は健常者群とPBC群間に差を認めないが, リンパ球のIL-2産生能は健常者群に比しPBC群で有意に低下している事が明らかとなつた.
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遠藤 了一, 上野 幸久, 佐藤 源一郎, 石井 誠, 佐藤 亮五
1985 年 82 巻 10 号 p.
2582-2593
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患における血清Tyr濃度を Wong らの蛍光法を用い測定した. 対象は慢性肝炎88例 (147回), 肝硬変69例 (132回), 肝性脳症6例 (12回), 肝癌合併10例 (21回) である.
血清Tyrは慢性肝炎活動型, 代償性肝硬変で高値を示し, 非代償性肝硬変では明らかに有意の上昇を示すものが多く, Fischer らのBCAA, AAA比 (MR) とTyrは有意の逆相関を示した. またTyrは HPT, ChE活性などと相関を示すが, GOT, GPTなどとの相関は認められなかつた.
これらの結果から血清Tyrの測定は Fischer らのMRとほぼ同等の臨床的意義を有するもので, 肝の代謝機能の低下の程度をよく反映し, 有用な肝機能検査であると考えられた.
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西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 三浦 腎佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
1985 年 82 巻 10 号 p.
2594-2600
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変6例, 肝癌3例, 慢性肝炎2例の計11例を対象とし, プロスタグランディンE
1 (以下PGE
1と略す) を持続的に上腸間膜動脈内に注入し, その前後における門脈血行動態の変化を検討した. PGE
1により, 上腸間膜静脈血流量は増加したが, 門脈血流量, 門脈圧の上昇は有意ではなかつた. 一方, 脾静脈血流量は明らかな減少を示した. 上腸間膜静脈, 脾静脈血中酸素含有量よりの検討も, PGE
1による上腸間膜静脈血流量の増加と, 脾静脈血流の減少を示していた. 上腸間膜静脈血流量増加に対する代償性脾静脈血流量減少により, 門脈血流量, 門脈圧の変化は僅少であつたと思われたが, それら相互の関連性について若干の考察を加えた.
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森安 史典, 西田 修, 伴 信之, 中村 武史, 宋 泰成, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 三宅 健夫, 内野 治人
1985 年 82 巻 10 号 p.
2601-2607
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性肝癌患者の門脈血流を測定し, 肝癌を合併しない肝硬変患者および健康成人を対照群として比較検討した. また, 血管造影により分類した肝癌の病型および門脈浸潤の程度と, その門脈血流との関連を検討した. 門脈血流の測定には, 超音波Bモード•パルスドップラー複合法を用いた. 肝癌症例の門脈血流は814±401ml/min (n=44, mean±S.D.), 肝癌非合併肝硬変群の門脈血流は888±331ml/min (n=81, mean±S.D.) であり, 両群間に差を認めなかつた. 肝癌症例における門脈血流の検討では, 門脈浸潤および腫瘍の進展形態と門脈血流の間に一定の関係が示唆された. すなわち, 3区域枝以上の門脈浸潤群と, びまん型肝癌群においては, それ以外の群に比較して, 門脈血流の低下が認められた.
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阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 筒井 ひろ子, 関 守一, 山本 祐夫, 竹田 茂文, 油田 正樹, 森沢 成司
1985 年 82 巻 10 号 p.
2608-2612
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
茵〓蒿, 山梔子および大黄の3種類の生薬から構成されている茵〓蒿湯の胆汁分泌促進作用について研究し, さらに催胆汁うつ滞因子が茵〓蒿湯の利胆作用にどのような影響を及ぼすかについて検討した.
その結果, 茵〓蒿湯の利胆効果は主として毛細胆管胆汁の分泌促進によるものと推測され, 遠位胆管における水の移動には影響しないものと考えられた. また, 肝内胆汁うつ滞を誘導するリンホカインである催胆汁うつ滞因子による胆汁排泄の抑制は, 茵〓蒿湯の利胆効果によつてある程度緩解することが示唆された.
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佐々木 浩一, 松野 正紀, 宮下 英士, 山内 英生
1985 年 82 巻 10 号 p.
2613-2621
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵瘻犬に Roux en Y 型の胆嚢空腸吻合術を施し, biliary diversion の膵機能に及ぼす影響を検討した. 0.375~1.5CHRU/kg/hrのP-S刺激下では膵液量, 重炭酸イオン濃度および排出量, アミラーゼ濃度および排出量のいずれもが biliary diversion 後に有意に低下したのに対し, 3.0~6.0CHRU/kg/hr では膵液量, 重炭酸イオン排出量は逆に有意に増加した. biliary diversion 後に血中膵グルカゴンの有意の上昇が認められ, これが0.375~1.5CHRU/kg/hrでの膵外分泌低下に関与したものと考えられた. 3.0~6.0CHRU/kg/hrでの膵液量, 重炭酸イオン排出量増加の機序は不明だが, 特殊病態下の膵外分泌の評価には dose response curve による比較検討が重要であることが示唆された.
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佐々木 康之
1985 年 82 巻 10 号 p.
2622-2631
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
雑種成犬を用い, 膵表面および腸間膜リンパ管を凝固•破壊することにより膵リンパ流路うつ滞を実験的に作製し, 膵組織像•膵外分泌機能を検討した. 膵リンパ流路うつ滞によつて, 膵実質細胞の壊死を伴わない軽度の線維化およびリンパ管拡張, 被膜脂肪のう胞の形成がみられた. デオキシコール酸膵管内1回注入で膵頭•体•鈎部はヒト慢性膵炎類似の組織像を示し, これにリンパ流路うつ帯を加えると, 上記病変は膵尾部にまで拡がつた. 膵内線維化の程度と膵外分泌機能とは, ほぼ平行して障害される傾向がみられた. 長期間の膵リンパ流路うつ滞は, 単独で軽度の線維化を起こすのみならず, 膵病変の進展を助長する因子となりうると思われた.
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高橋 仁公, 山田 昇司, 佐伯 俊一, 植原 政弘, 小林 節雄, 新島 和, 石川 博, 魚住 義之, 滝口 道生, 小林 敏男, 萩原 ...
1985 年 82 巻 10 号 p.
2632-2636
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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杉山 茂, 藤田 力也, 菅田 文夫, 樋口 道生, 渡辺 糺
1985 年 82 巻 10 号 p.
2637-2641
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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水野 清雄, 上野 敏男, 島崎 英樹, 安原 修一郎, 竹田 亮祐, 中沼 安二
1985 年 82 巻 10 号 p.
2642-2646
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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神谷 順一, 二村 雄次, 早川 直和, 塩野谷 恵彦
1985 年 82 巻 10 号 p.
2647-2650
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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伊藤 康文, 石塚 達夫, 三浦 清, 田中 萃子, 田中 正雄, 立花 進
1985 年 82 巻 10 号 p.
2651-2656
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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岡野 健一, 山本 久文, 佐々 隆之, 栗田 昌裕, 岩瀬 透, 右田 徹, 吉田 晴彦, 平野 正憲
1985 年 82 巻 10 号 p.
2657
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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布施 建治, 馬場 忠雄, 細田 四郎
1985 年 82 巻 10 号 p.
2658
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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荒川 泰行, 天木 秀一, 宮本 正俊, 松尾 裕, 本田 利男, 神田 靖男, 馬場 真澄, 志方 俊夫
1985 年 82 巻 10 号 p.
2659
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー