1985 年 82 巻 10 号 p. 2554-2561
ラットDMH大腸発癌実験に及ぼす食餌因子及び胆汁酸の影響を検討する為に, 高脂肪食, コレスチポール食, 高線維食, 高脂肪•高線維食, 普通食の5群について, 腫瘍の発生頻度を検討するとともに, 糞便中胆汁酸量を高速液体クロマトグラフィーを用いて測定し, 大腸癌発生に及ぼす胆汁酸の影響についても検討した. 腫瘍発生頻度は, 糞便中胆汁酸量の多い高脂肪食, コレスチポール食などで増加したが, 高線維食は糞便中胆汁酸が低下していないにもかかわらず腫瘍発生頻度は減少し, 特に高脂肪食に高線維食を加えると腫瘍発生の抑制効果が明らかで, ラット大腸癌発生に及ぼす効果は高線維食による抑制作用が高脂肪食による促進作用より優位である結果が得られた.