日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵リンパ流路うつ滞による実験的慢性膵障害
佐々木 康之
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1985 年 82 巻 10 号 p. 2622-2631

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抄録

雑種成犬を用い, 膵表面および腸間膜リンパ管を凝固•破壊することにより膵リンパ流路うつ滞を実験的に作製し, 膵組織像•膵外分泌機能を検討した. 膵リンパ流路うつ滞によつて, 膵実質細胞の壊死を伴わない軽度の線維化およびリンパ管拡張, 被膜脂肪のう胞の形成がみられた. デオキシコール酸膵管内1回注入で膵頭•体•鈎部はヒト慢性膵炎類似の組織像を示し, これにリンパ流路うつ帯を加えると, 上記病変は膵尾部にまで拡がつた. 膵内線維化の程度と膵外分泌機能とは, ほぼ平行して障害される傾向がみられた. 長期間の膵リンパ流路うつ滞は, 単独で軽度の線維化を起こすのみならず, 膵病変の進展を助長する因子となりうると思われた.

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