日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃粘液の発癌防御機構に及ぼす影響
ラット胃粘膜DNAとN-〔methyl-3H〕-N'-nitro-N-nitrosoguanidine との結合量の測定
鳥居 明穎川 一忠有泉 雅博岩崎 仁野沢 博鬼沢 信明川村 忠夫亀田 治男高山 昭三
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1985 年 82 巻 3 号 p. 398-403

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抄録

胃発癌過程の修飾因子の影響を短期間で簡便に検討するため, ラットに発癌剤であるN-〔methyl-3H〕-N'-nitro-N-nitrosoguanidine を経口的に胃内に注入し, 胃粘膜DNAとの結合量を液体シンチレーターにて測定した. その結果, control 群25.4±5.9pmole/mgDNAに比し, prostaglandin E2および pirenzepine を前投与し胃粘液を増加させた群では各々11.7±3.8pmole/mgDNA, 6.2±5.6pmole/mgDNAと有意に減少しており, 逆に indomethacin を前投与し胃粘液を減少させた群では, 42.9±14.4pmole/mgDNA と増加を示した. 以上より胃粘液量と発癌剤結合量との間には負の相関が認められ, 胃粘液が発癌物質に対しても粘膜防御作用を有し, 胃癌発生過程において修飾因子として重要な影響を与えていると推察された.

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