日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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82 巻, 3 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 熊沢 健一, 芳賀 駿介, 川田 裕一, 小豆畑 博, 清水 忠夫, 森 正樹, 菊池 友允, 梶原 哲郎, 榊原 宣, 市岡 四象
    1985 年 82 巻 3 号 p. 391-397
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤患者は肝硬変症を基礎疾患としていることが多く, hyperdynamic state を呈することがある. このような病態下における硬化剤注入療法の心肺への影響について Swan-Ganz カテーテルを用いて検索した. 硬化剤注入直後, 肺血管抵抗と肺動脈圧が有意に上昇し注入2日目で回復した. また心係数•右房圧も軽度上昇を示した. 肺機能では, 注入後動脈血酸素分圧が低下し, 肺胞-動脈血酸素分圧較差•生理的肺シャント率が上昇し肺拡散障害を認めた. 食道内視鏡検査前後にはこれらの変化は認められなかつたことから硬化剤 (ethanolamine oleate) の注入による影響と考えられた.
  • ラット胃粘膜DNAとN-〔methyl-3H〕-N'-nitro-N-nitrosoguanidine との結合量の測定
    鳥居 明, 穎川 一忠, 有泉 雅博, 岩崎 仁, 野沢 博, 鬼沢 信明, 川村 忠夫, 亀田 治男, 高山 昭三
    1985 年 82 巻 3 号 p. 398-403
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃発癌過程の修飾因子の影響を短期間で簡便に検討するため, ラットに発癌剤であるN-〔methyl-3H〕-N'-nitro-N-nitrosoguanidine を経口的に胃内に注入し, 胃粘膜DNAとの結合量を液体シンチレーターにて測定した. その結果, control 群25.4±5.9pmole/mgDNAに比し, prostaglandin E2および pirenzepine を前投与し胃粘液を増加させた群では各々11.7±3.8pmole/mgDNA, 6.2±5.6pmole/mgDNAと有意に減少しており, 逆に indomethacin を前投与し胃粘液を減少させた群では, 42.9±14.4pmole/mgDNA と増加を示した. 以上より胃粘液量と発癌剤結合量との間には負の相関が認められ, 胃粘液が発癌物質に対しても粘膜防御作用を有し, 胃癌発生過程において修飾因子として重要な影響を与えていると推察された.
  • 松本 純一, 荒井 泰道
    1985 年 82 巻 3 号 p. 404-412
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    十二指腸潰瘍において粘膜防御機構としての十二指腸腔内酸中和能を明らかにするため, 十二指腸腔内塩酸負荷を行い, 血漿 secretin 及び膵液分泌能を検討した. 総重炭酸分泌量と最高酸分泌量の比を比較すると, 胃潰瘍例が十二指腸潰瘍例よりも有意に高値を示し, 十二指腸潰瘍例の十二指腸腔内酸中和能は胃潰瘍例よりも低下していることが明らかとなつた. また, 十二指腸潰瘍例は酸中和能の面から胃潰瘍同様良好な例と不良例の2群にわけられた. 胃潰瘍例, 十二指腸潰瘍酸中和能良好例, 十二指腸潰瘍酸中和能不良例の3群とも塩酸投与による血漿 secretin 分泌は2.5分に頂値を有する反応パターンが得られ, 十二指腸潰瘍における酸中和能不良の原因として, (1)内因性 secretin の不活化, あるいは, (2)内因性 secretin の receptor site での障害の可能性が示唆された.
  • 渡辺 守
    1985 年 82 巻 3 号 p. 413-423
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎患者41例の血清中の抗大腸抗体および lymphocytophilic antibody を fluorescence activated cell sorter (FACS) を用いた flow cytometry により検討した. 本症患者血清中には両抗体が従来の報告より高率に存在することが明らかとなつた. 抗大腸抗体は大腸に特異性をもつIgG抗体であり, 主として monomer の形で Fab' を介して大腸細胞に結合することが示され, 大腸粘膜破壊に関与する antibody dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC) 機序に参画し得ることが証明された. lymphocytophilic antibody は主として suppressor T細胞に結合するが, cytotoxic antibody でなく, 他のT細胞亜群とも反応し, 一部抗大腸抗体を含む heterogenous な抗体であることが示された. 以上より両抗体は本症の病態成立に重要な意義を果たすことが示唆された.
  • 西田 憲一, 八尾 恒良, 都築 脩三
    1985 年 82 巻 3 号 p. 424-433
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Crohn 病非手術例18例と健常対照群8例について, 入院時血清亜鉛値, naso-duodenal feeding tube によるED治療後の亜鉛出納試験, 亜鉛40mg経口投与による負荷試験を施行した. 血清亜鉛値と血清アルブミン値間に有意な正の相関を認め, また Crohn 病患者の activity index (CDAI, Dutch AI) と血清亜鉛値間にも有意な負の相関を認めた. 亜鉛負荷試験にて, AUC (血中薬物濃度下面積) と負荷前の血清亜鉛値間に有意な正の相関が認められたが, 血清アルブミン値間には相関が認められなかつた. 従つて, Crohn 病における低亜鉛血症の主な原因は腸管からの吸収障害によると推論され, その程度は病期によつて左右されることが示唆された.
  • 肝硬変症の予後
    辻 裕二, 古賀 俊逸, 井林 博
    1985 年 82 巻 3 号 p. 434-440
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    当教室における1971~1980年の肝硬変185例を対象に予後調査を行ない, 1956年~1966年の同様の調査成績と対比検討した. 年次別生存率は1年83.2%, 2年77.3%, 3年69.0%, 4年61.9%, 5年55.2%, 7年38.0%, 10年35.7%であり, 前回の調査に比し1年~4年までの生存率に有意な改善がみられた. 重症度別の検討では腹水合併例, 低アルブミン血症例等の重症例が, 軽症例に比し予後の改善はより顕著であつた. 治療法では, 前回の調査時に比して強力な利尿剤, 血漿蛋白製剤, ラクツロースの普及が見られた. 死因は, 全体で肝不全44.1%, 消化管出血18.3%, 肝細胞癌24.7%, その他12.9%であり, 前回の調査に比し肝不全, 消化管出血死の減少, 肝細胞癌を含むその他の死因の増加を認めた.
  • 溝口 靖紘, 加藤 寛子, 筒井 ひろ子, 宮島 慶治, 新井 孝之, 阪上 吉秀, 東森 俊博, 針原 重義, 山本 祐夫, 門奈 丈之, ...
    1985 年 82 巻 3 号 p. 441-449
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アルコール多飲慢性肝疾患患者における肝内胆汁うつ滞の発生に, 催胆汁うつ滞因子が関与するか否かを検討するため, 患者末梢血リンパ球にエタノールと carrier 蛋白を添加して48時間培養し, その培養上清を Sephadex G-75 カラムで分画して, 催胆汁うつ滞因子の検出に用いた. その結果, 一定分画を正常ラットの腸間膜静脈に注入すると, 有意に胆汁排泄が抑制され, 肝組織電顕像においても毛細胆管の拡張, microvilli の減少または消失など, 肝内胆汁うつ滞に特徴的な病理組織的変化が認められた. また, 発症初期における患者血清を同様に分画して, ラット腸間膜静脈に注入しても, 胆汁排泄の抑制および肝組織の形態学的変化が観察された.
    これらの結果は, 薬物アレルギー性肝炎のみでなく, アルコール性肝障害に見られる肝内胆汁うつ滞の発生にリンホカインの一種, 催胆汁うつ滞因子が関与する可能性があることを示唆するものである.
  • 特にアルコール性肝障害を中心として
    藤井 守
    1985 年 82 巻 3 号 p. 450-458
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝障害21例, 非アルコール性肝疾患55例を対象とし血漿カリクレイン•キニン系の変動を検討した. 血漿カリクレインはアルコール性肝障害特にアルコール性肝炎で有意に上昇し断酒により低下, 高分子キニノゲンは鏡像的に変動した. 両者はアルコール性肝障害において有意な負の相関を示した. 急性飲酒実験で血漿カリクレインの上昇と高分子キニノゲンの鏡像的な減少を認めた. 血漿カリクレインの上昇機序にアセトアルデヒドの関与が想定された. 血漿プレカリクレインおよび高分子キニノゲンは脂肪肝を除き各種肝疾患で有意に低下した. アルコール性肝障害において血漿カリクレイン•キニン系の著明な作動が, その多彩な肝病変に関与することが想定された.
  • 吉岡 哲也, 村田 敏彦, 松尾 尚樹, 上田 潤, 本田 伸行, 仲川 房幸, 大上 庄一, 大石 元, 打田 日出夫, 辻井 正, 深井 ...
    1985 年 82 巻 3 号 p. 459-466
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌の娘結節に対するTAEの効果を明らかにする目的で, TAE後の娘結節の推移と娘結節を有する肝細胞癌のTAE後の予後について検討した. 対象は, 血管造影で同定できた肝細胞癌31例の直径4mmから53mmの娘結節152個である. 初回血管造影時に認められた娘結節98個のうち98%が, また2回目以後のTAE時に新たに発見された娘結節54個のうち53%が消失または縮小し, 血管造影で認識できる娘結節にはTAE効果のあることを確認した. また娘結節を有する肝細胞癌と肝細胞癌全例のTAE後の2年累積生存率はそれぞれ21%と27%で両者間に差がなく, 娘結節を有する肝細胞癌に対しても積極的なTAEが延命に結びつくことが判明した.
  • 西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
    1985 年 82 巻 3 号 p. 467-472
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    正常者, 脾腫をともなう血液疾患を対照とし, 門脈圧亢進にともなう脾腫の脾血行動態を検討した. 血液疾患では, 著明な脾腫を認め, 脾静脈血は著増(960±538ml/min) していた. 同群では, 脾静脈断面積の増大 (0.99±0.54cm2) が主で, 最大流速は上昇していなかつた (29.5±9.7cm/sec). 肝硬変では, 脾腫を認め, 脾静脈血流の増加傾向 (507±224ml/min) を認めた. 脾静脈断面積は増加 (0.66±0.27cm2) していたが, 最大流速は低下 (23.0±7.1cm/sec) していた. 門脈圧亢進症においては, 脾静脈断面積, 脾容積と門脈圧が正の相関を示した. Pressure Index 1 (脾静脈断面の長径と短径の比) は, 血液疾患を含め, 門脈圧と負の相関を示し, 門脈圧の予想を可能とすると思われた.
  • 宇野沢 隆夫, 木村 邦夫, 大藤 正雄, 税所 宏光, 守田 政彦, 江原 正明, 粕谷 直樹, 土屋 幸浩, 奥田 邦雄
    1985 年 82 巻 3 号 p. 473-482
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    異常に長い共通管をもつ胆管•膵管の合流異常と胆嚢癌の関連につき臨床的に検討した. 15mm以上の異常に長い胆管•膵管の共通管をもつ合流異常例では, 胆管末端部 (括約筋) の収縮運動は合流部より常に下位の共通管の範囲にとどまることを明らかにした. なお, このような合流異常例は先天性総胆管拡張症合併と非合併に分類された. 胆嚢癌症例のうち胆管•膵管の合流部が明瞭に造影された92例と, 胆管•膵管合流異常64例につき検討したところ, 合流異常例における胆嚢癌合併は23.4%と高率であり, これは合流異常 (-) 例における胆嚢癌合併率1.9%に比して有意に高値 (p<0.001) であつた. 特に先天性総胆管拡張症非合併の合流異常例においては71.4%と極めて高率であつた. 一方, 胆嚢癌例における合流異常合併率は16.3%であり, これは胆嚢癌非合併例における頻度2.8%に比して有意に高率であつた (p<0.01). このように合流異常と胆嚢癌は密接な関係をもち, 合流異常は胆嚢癌の発生に重要な因子であることが明らかにされた.
  • 早川 富博, 東 克謙, 片桐 健二, 宮治 真, 角鹿 精二, 稲熊 秀樹, 遠山 一太, 星野 信, 伊藤 誠, 武内 俊彦, 山本 俊 ...
    1985 年 82 巻 3 号 p. 483-488
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    経皮経肝胆汁ドレナージ (PTBD) 後, 減黄良好な8例を対象に, ウルソデオキシコール酸 (UDC) および自胆汁投与によるセフォチアム (CTM) の胆汁中移行の変化について検討した. CTMの胆汁中最高濃度, 4時間の胆汁中排泄量はともにUDC投与により有意な増加を示した. また, 自胆汁投与では増加傾向が認められた. そして4時間のCTMの排泄量と胆汁酸排泄量との間には, 有意 (p<0.01) の相関が認められた. PTBD症例に対してUDC投与すると, CTMの胆汁中濃度, 排泄量が有意に増加し, PTBD後の胆道感染の治療上UDCの投与が有用であることが示唆された. また, UDCをはじめとする胆汁酸は抗生剤の胆汁中移行に影響を及ぼす重要な因子であると推測される.
  • 第1編 部分的活性化と胆汁の影響
    石原 敬夫
    1985 年 82 巻 3 号 p. 489-499
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵液 trypsinogen (TG) は十二指腸内で全量が trypsin (T) に活性化されると一般に考えられているが, 生体内ではTGの活性化と共に degradation も進行する. ウサギ膵液, 十二指腸液, 胆汁による37°C in vitro TG活性化実験では, TGは活性化と dearadation を同時にうけて, 一部分 (30~60%) がTに活性化された. 胆汁はCa2+の作用で活性化を促進し, degradation を抑制することによりTGの活性化度を増強した. 各種精製酵素によるTG活性化実験では, 生体の温度, pH, Ca2+濃度ではTGは enterokinase により活性化され, Tによる活性化 (autoactivation) はおこらず, 逆にTはTGおよびTの degradation を進行させた. すなわち膵液TGの十二指腸内での活性化は部分的であり, 胆汁はこれを促進する.
  • 発症早期のCT所見とその計量化
    畠山 元, 〓 桂植, 金 貞孝, 中作 修, 新田 貢, 頼 明信, 伊藤 佐喜男
    1985 年 82 巻 3 号 p. 500-507
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    急性膵炎に関する既報の重症度判定基準の多くは臨床症状や臨床検査所見に基づくものであり, しかも統一されていないのが現状である. 我々はCT所見を本症の重症度判定に用いる目的で, 臨床的に急性膵炎と診断し, しかも24時間以内 (発症より48時間以内) に腹部CTを行なつた13症例についてCT所見のスコアリングからCTスコアを計算し, 同時に算定した臨床スコアと合わせ検討した. CTスコアには膵の変化, 膵周囲 (脂肪組織および Gerota 筋膜) への炎症の波及および膵外の液貯留などの10項目を, 臨床スコアには1977年の日本膵臓病研究会で検討された臨床症状8項目および検査14項目を採用した. その結果, 発症早期のCT像から得られたCTスコアは客観的に急性膵炎の病変の広がりを知る好適な指標となり, 手術適応の判定基準として役立つとともに重症度判定にきわめて有用と思われた. 従つて, 急性膵炎の重症度判定基準に本研究のCTスコアを加えた方がよいと考えられる.
  • 小関 秀旭, 笠貫 順二, 今泉 照恵, 徳政 義和, 吉田 尚, 藤本 茂, 奥井 勝二, 田中 秀雄, 宮平 守博
    1985 年 82 巻 3 号 p. 508-512
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 亀谷 さえ子, 佐藤 隆三, 玉田 元子, 渡辺 務, 生田 耕司
    1985 年 82 巻 3 号 p. 513-517
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 塩味 正雄, 山田 操, 勝 健一, 伊藤 進
    1985 年 82 巻 3 号 p. 518
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 中村 光男, 今村 憲市, 牧野 勲, 宮沢 正, 玉沢 直樹, 武部 和夫, 菊池 弘明
    1985 年 82 巻 3 号 p. 519
    発行日: 1985年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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