日本消化器病学会雑誌
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胆嚢癌及び慢性胆嚢炎におけるレクチン染色性
田嶋 伸之
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1986 年 83 巻 11 号 p. 2393-2401

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抄録

レクチン (UEA-1, PNA) と抗CEA血清をもちいて慢性胆嚢炎粘膜と胆嚢癌の各々の染色性について検討した. 慢性胆嚢炎の被覆上皮と Rokitansky-Aschoff 洞はいずれもUEA-1で陽性に染色されるがPNAとCEAではほとんどが陰性であつた. 偽幽門腺化生上皮はUEA-1, PNAが陽性に染色されるが, CEAではほとんどが陰性であつた. 過形成上皮はUEA-1, PNAとも陽性がほぼ半数にみられ, CEAは大半が陰性であつた. 胆嚢癌細胞はUEA-1, PNA, CEAのいずれも陽性であつた. 胆嚢癌周囲にみられた異型をしめす上皮は, UEA-1が陰性でPNAは弱陽性に染色された. 以上の結果より, 胆嚢粘膜における癌化の過程での細胞内糖抗原の変化が示唆された.

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